デボン紀後期の大量絶滅は数十光年先で起きた超新星爆発が原因かもしれない
sorae.jp / 2020年8月21日 21時26分
超新星爆発の衝撃波が太陽風と衝突する様子のシミュレーション。青い点線の円は地球の公転軌道、その中の赤い点は太陽の位置を示す(Credit: Jesse Miller)
Brian Fields氏(イリノイ大学)らの研究グループは、古生代デボン紀と石炭紀の境界にあたる約3億5900万年前に起きた大量絶滅が、地球から比較的近い場所で発生した超新星爆発によって引き起こされた可能性があるとする研究成果を発表しました。
■複数の超新星爆発が地球のオゾン層を長期間に渡り破壊した可能性デボン紀後期に起きた大量絶滅では、海洋生物を中心におよそ8割の生物が絶滅したとされています。研究グループによると、この時代の地層からは何世代にも渡り紫外線の影響を受け続けたとみられる植物の胞子の化石が見つかっており、何らかの原因によりオゾン層が破壊された証拠とみられているといいます。
研究グループがオゾン層を破壊し得る天文学的な原因を検討したところ、地球から20パーセク(約65光年)先という比較的近くで超新星爆発が起きた場合、爆発時に放射された紫外線、X線、ガンマ線だけでなく超新星に加速された宇宙線が地球に飛来することで、地球は最長で10万年続くダメージを負う可能性が示されたといいます。太陽系に到達した超新星爆発の衝撃波が地球の生物圏に大きな被害をもたらす可能性は低いとされていますが、超新星残骸から飛来する宇宙線の強さは地球規模でオゾン層を破壊するのに十分とみられており、オゾン層の破壊に誘発されたUV-B(紫外線B波)による遺伝子損傷に加えて、宇宙線が大気分子と衝突することで生じるミューオン(ミュー粒子、ミュオン)を介した損傷の可能性にも研究グループは言及しています。
いっぽう、隕石の落下、太陽フレアやコロナ質量放出といった太陽面爆発現象、ガンマ線バーストなどの影響は比較的短期間しか続かないとみられており、研究に参加したJesse Miller氏(イリノイ大学)は「これらの現象がデボン紀の終わり頃に起きた長期間に渡るオゾン層の破壊を引き起こした可能性は低い」としています。
また、化石からはデボン紀から石炭紀にかけての大量絶滅につながる生物多様性の減少が30万年に渡り続いたことが示唆されるといい、研究グループは超新星爆発が複数回発生した可能性を指摘しています。Miller氏は「通常、大質量星は星団内で他の星々とともに形成されるため、ある星の超新星爆発からさほど間を置かずに別の星が超新星爆発を起こすこともあり得ます」と語ります。
今回の研究は大量絶滅を引き起こした原因を検討したものであり、超新星爆発によって大量絶滅が引き起こされたとする証拠が見つかったわけではありません。研究グループでは、超新星爆発によってもたらされたことが予想される放射性同位体のプルトニウム244やサマリウム146が当時の地層から見つかれば、超新星爆発が起きていたことを証明する鍵になると考えています。
Fields氏は「地球の生命は孤立した存在ではありません。私たちは広大な宇宙の住人であり、宇宙は私たちの暮らしに干渉してきます……大半はささやかに、時には激しく」とコメントしています。
Image Credit: Jesse Miller
Source: イリノイ大学
文/松村武宏
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