拡大して余すことなく見たい渦巻銀河。おおかみ座の「NGC 5643」
sorae.jp / 2020年9月29日 23時0分
▲クリックで拡大:渦巻銀河「NGC 5643」(Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Riess et al.)
こちらは南天の「おおかみ座」の方向およそ5500万光年先にある渦巻銀河「NGC 5643」です。地球から見たNGC 5643は明るいバルジを取り囲む幅8万光年ほどの銀河円盤がほぼ正面(真上または真下)から見える位置関係にあり、画像にはバルジの渦巻くような中心部分や棒状構造から伸びる渦巻腕、漂う煙のような暗黒星雲などが鮮やかに捉えられています。
NGC 5643は中心の比較的小さな領域から強い電磁波が放たれている活動銀河核を持つ銀河(セイファート2型)としても知られています。また、この画像には写っていませんが、2017年3月にはNGC 5643において超新星「2017cbv」が観測されています。この超新星は、白色矮星と恒星から成る連星において恒星から流れ込んだガスによって白色矮星の質量が一定の値(太陽の約1.4倍、チャンドラセカール限界と呼ばれる)を超えた際に起きる「Ia型」の超新星とみられています。
画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡を用いて撮影されたもので、2020年9月28日に「今週の一枚」として公開されました。撮影にはハッブルに搭載されている「広視野カメラ3(WFC3)」が使われており、可視光線と赤外線の波長による合計9時間分の観測データを元に作成されています。
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Riess et al.
Source: ESA/Hubble / Simbad
文/松村武宏
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