火星の氷の下に複数の湖が存在していた! 探査機のレーダー観測で判明
sorae.jp / 2020年9月30日 21時2分
ローマ・トレ大学のSebastian Emanuel Lauro氏、Elena Pettinelli氏、イタリア国立天体物理学研究所のRoberto Orosei氏らの研究グループは、火星で新たに複数の氷底湖が見つかったとする研究成果を発表しました。氷底湖が存在するのは火星の南極域に広がるアウストラレ高原の氷の下1.5km付近で、最大の湖は20×30kmほどの大きさがあるといいます。
研究グループは2018年、ESA(欧州宇宙機関)の火星探査機「マーズ・エクスプレス」に搭載されている地下探査レーダー高度計「MARSIS」による観測データをもとに、火星の南極域の氷の下に幅20kmほどの大きさを持つ氷底湖が存在する可能性を指摘した研究成果を発表しており、今回の研究はこの成果に続くものとなります。氷底湖は地球にも存在していて、南極の氷床下4kmの深さにあるボストーク湖などが知られています。
2010年から2019年にかけて得られたMARSISの観測データを研究グループが分析したところ、2018年に発表された氷底湖の存在が改めて確認されただけでなく、その周辺において水が豊富な領域が新たに3つ検出されており、大きな氷底湖が複数の小さな氷底湖に囲まれていることが明らかになったといいます。研究グループでは、低温の環境下でも氷底湖の水が凍らずに液体の状態を保っているのは、これらの湖が塩分濃度の高い超塩湖だからではないかと考えています。
かつての火星の気候は今よりも温暖で、地表には海が広がっていたと考えられており、生命が生存できる環境が一定期間保たれていた可能性もあります。マーズ・エクスプレスを運用するESAは数百万~数十億年前から存在している可能性もある氷床下の超塩湖は火星で生命の証拠を探す上で理想的な場所としており、Pettinelli氏も新たな疑問として超塩湖に生命が存在する可能性に言及しています。
関連:火星南極の氷下に「大きな湖」存在か 生命存在への期待も
Image Credit: ESA/DLR/FU Berlin / Bill Dunford
Source: ESA / Nature Research Astronomy Community
文/松村武宏
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