2020年の「ノーベル物理学賞」はブラックホールの研究に貢献した3名が選ばれる
sorae.jp / 2020年10月7日 20時56分
今年のノーベル物理学賞は「ブラックホール」がキーワードです。スウェーデン王立科学アカデミーは日本時間10月6日、2020年のノーベル物理学賞にRoger Penrose(ロジャー・ペンローズ)氏、Reinhard Genzel(ラインハルト・ゲンツェル)氏、Andrea Ghez(アンドレア・ゲッズ)氏の3名が選ばれたことを発表しました。
ペンローズ氏は、一般相対性理論によるブラックホールの形成を証明した功績が評価されました。
一般相対性理論を提唱したアルバート・アインシュタインが亡くなってから10年後の1965年1月、ペンローズ氏はブラックホールが実際に形成され得ることを示し、その中心には既知の自然法則が通用しない特異点があることなどを説明した論文を発表しました。ペンローズ氏は論文の発表当時を振り返りつつ、「宇宙を理解する上でブラックホールの存在はますます重要なものになっています」と語ります。
いっぽう、ゲンツェル氏とゲッズ氏は、天の川銀河の中心にあるコンパクトかつ超大質量な天体の発見が評価されています。
両氏は天の川銀河中心の電波源「いて座A*(エースター)」を1990年代初頭から観測し続けている研究グループをそれぞれ率いてきました。いて座A*を周回する「S2」(S0-2)などの明るい星々の動きを長年観測した結果、いて座A*が太陽の約400万倍の質量を持つ超大質量ブラックホールであることが確実視されています。両氏らの観測は現在も続けられており、S2の観測データを利用した一般相対性理論の検証も行われています。
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かつては理論上の天体として認識されていたブラックホールですが、現在では国際協力プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」によって楕円銀河「M87」の中心に存在する超大質量ブラックホールのシャドウが直接観測されるに至りました。また、欧米に建設された「LIGO」や「Virgo」といった重力波望遠鏡はブラックホールどうしの合体にともなう重力波を続々と捉えており、日本の「KAGRA」も共同観測に合流することが決まっています。3名の受賞は、今まさに「エキサイティングな時期」(EHTプロジェクトサイエンティストのGeoffrey Bower氏)を迎えているブラックホールの研究を象徴するものと言えそうです。
Image Credit: Niklas Elmehed. © Nobel Media
Source: ノーベル賞公式ウェブサイト / オックスフォード大学 / マックス・プランク地球外物理学研究所 / カリフォルニア工科大学
文/松村武宏
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