特徴的な銀河の渦巻く中心付近、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影
sorae.jp / 2020年10月7日 23時25分
棒渦巻銀河「NGC 1365」の中心付近(Credit: ESA/Hubble & NASA, J. Lee and the PHANGS-HST Team)
こちらは南天の「ろ座」(炉座)の方向およそ5600万光年先にある棒渦巻銀河「NGC 1365」の中心付近を捉えた画像です。将来の星形成活動において星々を生み出すことになる塵の豊富な領域が、渦巻く二筋の炎のように写っています。画像の縁の近くにはNGC 1365の広大な星形成領域が見えていて、ガスと塵から形成された若い星々が集まっていることを示す明るく青い部分が幾つも存在しています。
以前もご紹介したように、NGC 1365は渦巻腕をつなぐ大きな棒状構造とは別に小さな棒状構造を持っており、この画像でも銀河の中心から上下方向に伸びた明るい部分として写っています。棒状構造がこのように2重になる理由は、銀河の回転や星々の複雑な力学の複合的な効果によるものと考えられています。2重の棒状構造を持つことから、NGC 1365は「Great Barred Spiral Galaxy」とも呼ばれています。
冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」による可視光線と紫外線の波長を使った観測データから作成されたもので、2020年10月5日に「今週の一枚」として公開されました。
なお、撮影はチリの「アルマ望遠鏡」やESO(ヨーロッパ南天天文台)の「超大型望遠鏡(VLT)」との共同研究プロジェクト「PHANGS」の一環として行われました。同プロジェクトでは天の川銀河の外にある10万を超えるガスの雲や星形成領域の画像化が期待されていて、冷たいガスの雲、星形成活動、銀河の形態がどのように関連しているのかを明らかにすることが望まれています。
![棒渦巻銀河「NGC 1365」全体の様子](https://sorae.info/wp-content/uploads/2020/09/eso9920f.jpg)
可視光線で観測された棒渦巻銀河「NGC 1365」全体の様子(Credit: ESO)
関連:2重の棒状構造と大きな渦巻腕が見事な南天の棒渦巻銀河
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, J. Lee and the PHANGS-HST Team
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏
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