火星の南半球にある重なり合った3つのクレーター
sorae.jp / 2020年10月30日 22時31分
こちらは火星の南半球に広がるノアキス大陸(Noachis Terra)にある、重なり合うようにして形成されたクレーターです。3つのクレーターの直径は、それぞれ約45km、約34km、約28kmです。
クレーターが存在するノアキス大陸は古い地域とされています。旧約聖書に登場するノアにちなんで名付けられたその名は、火星の地質時代のひとつであり小惑星の衝突が激しかったとされるノアキス紀(Noachian Period、約41億~37億年前)の由来にもなっています。火星の南半球の高地に存在する他の古いクレーターと同様、この3つのクレーターも侵食作用によってクレーターの縁は平らになり、形成から長い時間が経った内部は堆積物に満たされています。また、最も小さなクレーターには、地球の高山地域において氷河に運ばれた岩が刻むような痕跡が見られるといいます。
火山の火口のようにクレーターが集中して形成された理由として、1つの小惑星が分裂しながら衝突したことが考えられるといいます。もしそうであればノアキス紀の火星の大気は今よりもずっと密度が高かった可能性があり、かつての火星は地表に海が存在するほど温暖だったとする研究成果とも矛盾しません。あるいは偶然の産物として、別々のタイミングで飛来した3つの小惑星がたまたま同じような場所に衝突したのかもしれません。
冒頭の画像はESA(欧州宇宙機関)の火星探査機「マーズ・エクスプレス」に搭載されている高解像度ステレオカメラ(HRSC)による2020年8月6日の観測データをもとに作成されたもので、2020年10月29日に公開されています。
Image Credit: ESA/DLR/FU Berlin
Source: ESA / DLR
文/松村武宏
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