古い赤色矮星を周回する系外惑星も生命にとって過酷な環境の可能性
sorae.jp / 2020年11月5日 22時54分
4000個以上が発見されている太陽系外惑星の多くは、軽くて小さく数が多い恒星である赤色矮星(M型星)を周回しています。そのなかには地球のサイズに近い岩石質とみられる系外惑星も見つかっていますが、今回発表された研究では、赤色矮星を周回する系外惑星の環境が生命にとって厳しいものである可能性が改めて示されています。
■誕生から約100億年が経ったとされるバーナード星で強力なフレアを観測コロラド大学ボルダー校のKevin France氏らの研究グループは、「へびつかい座」の方向にある赤色矮星「バーナード星(GJ 699)」をモデルとして、古い赤色矮星で起きる高エネルギーのフレア(恒星表面の爆発現象)がハビタブルゾーンを周回する岩石質の惑星に及ぼす影響を分析しました。その結果、何億年にも渡って繰り返し発生するフレアによって惑星の大気が流出してしまうことで、生命の居住可能性が減少するのではないかとみられています。
バーナード星は太陽系からの距離がおよそ6光年と近い恒星で、2018年には少なくとも地球の約3.2倍の質量がある系外惑星「バーナード星b(GJ 699b)」の発見が報告されています。赤色矮星は約1000億年の寿命を持つとされていて、バーナード星は誕生からすでに約100億年(太陽の年齢の約2倍)が経っているとみられています。
研究グループが「ハッブル」宇宙望遠鏡やX線観測衛星「チャンドラ」を使ってバーナード星を観測したところ、2019年3月に紫外線の波長で2回の高エネルギーフレアを、同年6月にはX線フレアを検出。観測データを分析した研究グループは、バーナード星では約25パーセントの確率で強力なフレアが起きていると結論付けています。
赤色矮星は特に若い頃の活動が盛んとされていて、仮にハビタブルゾーンを惑星が周回していたとしても、フレアの影響により大気が保てないと考えられています。いっぽう、誕生からある程度の年月が過ぎて活動が落ち着いてきた古い赤色矮星であれば、惑星の大気が天体衝突や火山活動などにともない放出されたガスによって再生されるとも考えられてきたといいます。
しかし、研究グループによるバーナード星の観測結果は、再生された大気でさえも失われ続ける可能性を示しています。研究に参加したコロラド大学のGirish Duvvuri氏は「古い赤色矮星としては驚くべき活動です」と語ります。研究グループでは、バーナード星が赤色矮星として典型的であるかどうかを判断するために、より多くの赤色矮星を対象として研究を継続しています。
関連:恒星の種類によるハビタブルゾーンの違いを解説した図表
Image Credit: NASA/CXC/M. Weiss
Source: チャンドラX線センター
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
明かされつつある太陽系外縁の構造
PR TIMES / 2024年9月5日 16時45分
-
水星の内部には厚さ10km超のダイヤモンドに富む層があるかもしれない
sorae.jp / 2024年8月31日 21時25分
-
時速150万km以上で銀河系から遠ざかる褐色矮星 市民科学者が発見 NASA
財経新聞 / 2024年8月26日 10時4分
-
放出したのは超新星爆発か連星ブラックホールか? 市民科学プロジェクトで見つかった400光年先の高速度星
sorae.jp / 2024年8月23日 20時30分
-
どこでもサイエンス 第290回 爆発しそうな星
マイナビニュース / 2024年8月21日 17時27分
ランキング
-
1「血糖値」下げるつもりが、じつは無意味な習慣4つ 「健康的な面」だけにフォーカスを当ててもダメ
東洋経済オンライン / 2024年9月16日 15時0分
-
2コスパが良いと思うエアコンのメーカーランキング! 2位「ダイキン」、1位は?【家電のプロが解説】
オールアバウト / 2024年9月18日 20時35分
-
3小泉進次郎を称賛し、自民党に投票するのは「レベルが低い」から? 知的エリートが陥りやすいワナ
オールアバウト / 2024年9月19日 21時15分
-
4なぜ「肌の接触」が必要なのか? ハグやマッサージが幸福感をもたらす理由
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月19日 17時50分
-
5「特需」に沸き立つ日本の港湾用クレーンメーカー…米中対立の余波で“棚ボタ”ウハウハ(重道武司)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月19日 9時26分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください