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夜空から岩石の雨が降ってくる 灼熱の太陽系外惑星「K2-141 b」

sorae.jp / 2020年11月10日 16時58分

系外惑星「K2-141 b」を描いた想像図。主星に照らされ続けている昼側(右上)で蒸発した岩石が永遠に照らされない夜側(左下)で雨となって降り注いでいるとみられている

系外惑星「K2-141 b」を描いた想像図。主星に照らされ続けている昼側(右上)で蒸発した岩石が永遠に照らされない夜側(左下)で雨となって降り注いでいるとみられている(Credit: Julie Roussy, McGill Graphic Design and Getty Images)

海や湖から蒸発した水は雲となり、やがて雨や雪として再び地上に降り注ぐ。地球にはこのような水の循環がありますが、ある太陽系外惑星では主星の熱で溶けた岩石が蒸発することで、地球における水のように岩石が循環している可能性があるようです。

■摂氏約3000度の昼側で蒸発した岩石が寒い夜側で雨を降らせている可能性

マギル大学のGiang Nguyen氏やNicolas Cowan氏らの研究グループは、「てんびん座」の方向およそ200光年先にある系外惑星「K2-141 b」の環境をコンピューターシミュレーションを使って分析しました。

K2-141 bは地球と比べて直径が約1.5倍、質量が約5倍ある岩石質の系外惑星とされています。公転周期、つまりK2-141 bにとっての「1年」は地球の約0.28日(6時間40分ほど)で、主星の重力がもたらす潮汐力によって自転と公転の周期が同期した「潮汐固定(潮汐ロック)」の状態にあるとみられています。

研究グループによると、主星の「K2-141」に近い軌道を周回しているK2-141 bの表面温度は、主星から常に照らされ続けている昼側が摂氏約3000度、ずっと夜が続く夜側が摂氏マイナス200度と推定されています。高温に熱せられているK2-141 bの表面には、深さ100kmと推定される溶けた岩石でできたマグマオーシャンが広がっていると考えられています。

研究グループによるシミュレーションの結果、K2-141 bの昼側ではマグマオーシャンからナトリウム(Na)、一酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO2)といった岩石を構成する物質が蒸発して大気を形成し、時速5000kmを超える風によって大気の薄い夜側に運ばれている可能性が示されました。蒸発した物質は寒い夜側で凝縮し雨となって降り注いでいるとみられており、地球における水のようにK2-141 bでは岩石が循環していることが考えられるといいます。

ただ、シミュレーションによると夜側から昼側への物質の流れは遅く、時間が経つにしたがって鉱物の組成が変化すると予想されており、最終的にK2-141 bの表面と大気は様変わりするとみられています。研究グループは今回の予測の正しさを確かめるために、2021年10月に打ち上げられる予定の次世代宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」による観測に期待を寄せています。

Cowan氏は「地球を含む岩石質の惑星は溶けた世界として始まりましたが、急速に冷えて固まりました。マグマに覆われた系外惑星は、惑星の進化におけるこの段階を垣間見る貴重な機会を与えてくれるのです」とコメントしています。

 

関連:太陽系外惑星WASP-76bでは、明けない夜の空から鉄の雨が降る

Image Credit: Julie Roussy, McGill Graphic Design and Getty Images
Source: マギル大学
文/松村武宏

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