隕石の衝突がエウロパの間欠泉を発生させる?
sorae.jp / 2020年11月15日 21時3分
スタンフォード大学のシュタインブリュッゲ博士などからなる研究チームは11月5日、木星の衛星エウロパにあると考えられている間欠泉(プルーム)について、新しい発生モデルを提唱しました。
ハッブル宇宙望遠鏡やケック天文台、NASAの木星探査機ガリレオなどの観測結果からエウロパに水蒸気を吹き上げる間欠泉が存在することはほぼ間違いないと考えられています。
ただその発生源についてはよく解っていませんが、厚さ数キロにもなる氷の外殻の下にある広大な内部海や氷の外殻のなかにある大きな貯水池が考えられています。
今回、研究チームが提唱した新しいモデルはこのうちの氷の外殻のなかにある大きな貯水池から間欠泉が発生する仕組みの解明に挑むものです。研究チームは数千万年前に隕石の衝突によって形成された幅29kmになるマナナンと呼ばれるクレーターの分析からこの新しいモデルを提唱しました。
では、その新しいモデルの内容をみてみましょう!
隕石がエウロパの氷の外殻に衝突すると、その熱で、氷の外殻が溶けますが、すぐにまた凍り始めます。このとき氷の外殻のなかに小さな塩水の塊が残ります。塩分を含むと、水が凍り始める氷点が下がるためです。
しかし、この小さな塩水の塊はじっとはしていません。より塩分濃度が低い周りの氷を溶かしながら、より温度が高いクレーターの中心部分に向かって、氷の外殻のなかを移動していきます。
こうして、小さな塩水の塊が集まり、クレーターの中心部の氷の外殻のなかに、大きな貯水池ができます。
しかし、この大きな貯水池もやがて凍り始めます。水は氷ると体積が増します。そのため、この大きな貯水池は、やがて、内圧が高まり、破裂します。こうして間欠泉が発生するというわけです。
この新しいモデルはあくまでもまだ仮説にすぎませんが、2020年代中頃に打ち上げ予定のNASAのエウロパ探査機エウロパ・クリッパーによってこのようなエウロパの間欠泉の謎が解明されるかもしれませんね。とても待ち遠しいです。
関連:エウロパの水噴出の新たな証拠を発見。探査機「ガリレオ」の観測データを再解析
Image Credit: NASA/ESA/K. Retherford/SWR
Source: 論文/SCI-NEWS
文/飯銅重幸
この記事に関連するニュース
-
火星ではほぼ毎日8mのクレーターができている 新たな天体衝突率の推計結果
sorae.jp / 2024年7月8日 20時55分
-
「ベンヌ」のサンプルの初期分析結果が発表 “予想外の発見” も報告
sorae.jp / 2024年7月5日 22時47分
-
木星の「大赤斑」は1665年に発見された「永久斑」とは異なる可能性が高いと判明
sorae.jp / 2024年6月26日 21時0分
-
NASAが火星サンプルリターンミッションの手法研究で7社の企業を選定
sorae.jp / 2024年6月24日 17時5分
-
JAXA吉川真さんが語る 日本航空宇宙学会「ジュニア会員制度」とは?
sorae.jp / 2024年6月23日 17時0分
ランキング
-
1「持ち運び用の最適解...」無印の"990円"充電器、価格以上の優秀さだった。
東京バーゲンマニア / 2024年7月18日 20時8分
-
2Q. スイカの皮は食べられますか? 【管理栄養士が回答】
オールアバウト / 2024年7月18日 20時45分
-
3結婚相談所は知っている「いつまで経っても、結婚できない男女の“意外な問題点”」
日刊SPA! / 2024年7月18日 15時50分
-
4iPhoneは「128GB」か「256GB」どちらを買うべきですか?【スマホのプロが解説】
オールアバウト / 2024年7月16日 21時25分
-
5ゴミ清掃員が教える「個人情報を捨てるときのコツ」は… “より確実な方法”もあった
Sirabee / 2024年7月18日 19時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください