はやぶさ2、カプセル回収に向け準備進む
sorae.jp / 2020年11月19日 17時13分
2020年11月16日、JAXAは「はやぶさ2」の最新情報について発表しました。今回の内容は、化学エンジンによる精密軌道制御の第2回(TCM-2)の結果、帰還カプセル回収班の現状、カプセル回収後の作業計画についてでした。
TCM-2とカプセル回収班の現状TCM-2は11月12日に実施され、予定通りの軌道修正ができました。これにより、地球への最接近高度を約310kmから290kmに落とし、より地表に近づく軌道となりました。
カプセル回収班は、先発隊が11月1日にオーストラリア入国、16日に回収拠点となる南オーストラリア州のウーメラに向かいます。本隊(後発隊)は11月9日に入国、現在先発隊と同じくアデレードで検疫隔離を行っています。オーストラリアは現在外国人の入国を原則認めていないため、特別の許可を得ての入国になります。現時点で新型コロナウイルス発症者はいないとのことです。回収班はこの後、回収に向けた各種作業、挨拶や準備を行い、12月6日の再突入カプセル着陸を待ち受けます。
なお、カプセルを地上に届けた後の「はやぶさ2」本体は、燃え尽きることなく新たな小惑星「1998 KY26」に向けおよそ11年の旅に出ます。ここは初代「はやぶさ」と違うところです。
JALの粋な計らい「はやぶさ」便カプセル回収班はJALのチャーター便で羽田からアデレードへ飛んだのですが、その際の便名は両隊とも「JL8823」便でした。JLはJALの略号、8823は「はやぶさ」の語呂合わせです。事前に打ち合わせがあったのかをJAXAに尋ねたところ、はやぶさ2ミッションマネージャの吉川氏から「それは全くありません。回収班が当日空港に行ったらこの便名だったと聞いています。JALの計らい、たいへんありがたく思います」との答えでした。
カプセル回収後の流れ再突入カプセルは、サンプルコンテナが取り付けられているインスツルメントモジュールを、上下の断熱材で挟み込むような構造になっています。再突入時にカプセルの発する光の軌道、電波ビーコンなどでおおよその検討をつけ、捜索隊がカプセルを見つけます。
発見後は、本体であるインスツルメントモジュールを最優先で回収し、Quick Look Facility (QLF)と名付けられた施設で、インスツルメントモジュールから小惑星「リュウグウ」のかけらが納められたサンプルコンテナを取り出します。取り出されたサンプルコンテナは、新規開発のガス採取装置につなぎ、リュウグウのサンプルから放出されたと考えられるガスを取り出し、簡易分析にかけます。一連の作業が終わり次第、カプセル及びサンプルコンテナは専用の密閉型輸送箱に収められ、日本に空輸されます。
羽田空港に到着したカプセル一式は相模原の宇宙科学研究所(ISAS)に運ばれ、サンプルコンテナは分析施設(キュレーション施設)のクリーンルームに運ばれます。その後、準備作業を経て、12月下旬をめどにクリーンルーム内に設置されたクリーンチャンバー内でサンプルコンテナの開封・資料回収が始まります。サンプル量は2回のタッチダウンを合わせて1グラム程度を予想しているとのことでした。
回収されたサンプルは最終的には一粒ずつ記録され、事前の計画に従って各機関・研究者に振り分けられて様々な研究に用いられることになります。「将来への保管」比率が最も多いですが、これはより進んだ分析技術で解析が行われるようになるのを期待してのことです。配分比率は表を示しました。
地上の準備は着々と進んでいます。帰還時にはパブリックビューイングを行う施設もありますので、足を運んでみてはいかがでしょうか。
はやぶさ2プロジェクトサイト:https://www.hayabusa2.jaxa.jp/
はやぶさ2プロジェクト公式Twitter:https://twitter.com/haya2_jaxa/
マスコットキャラクター「はやツー君」Twitter:https://twitter.com/haya2kun
image Credit: JAXA
参考: Flightradar24
文/金木利憲
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