合体する恒星 16年間謎だった天体の正体がついに解明される
sorae.jp / 2020年11月20日 20時53分
ブルーリング星雲の画像。(Image Credit: NASA/JPL-Caltech/M. Seibert (Carnegie Institution for Science)/K. Hoadley (Caltech)/GALEX Team)
みなさんはこの天体の正体はなんだと思いますか?
実はこのブルーリング星雲と呼ばれる天体は16年間にも渡って正体が解らず、研究者達の頭を悩ませ続けてきました。
しかし、ついに、NASAの銀河進化探査機(GALEX)の研究チームが11月18日、この天体の正体は2つの恒星が合体してできた1つの恒星であると考えられると発表しました。その周りに見えている青色のリング状のものは合体の際に発生した残骸というわけです。
最初、研究チームはブルーリング星雲の正体を超新星爆発の残骸や惑星状星雲ではないかと考えました。
私達の太陽ほどの質量の恒星が最期を迎えると、膨れ上がり、ガスを放出します。中心星が放つ紫外線を浴びて、ガスが輝いてみえるのが惑星状星雲です。
しかし、観測の結果、この2つの可能性は否定されました。
研究チームは、4つの宇宙望遠鏡と4つの地上の望遠鏡などのデータを使って、発見以来10年以上にも渡って、研究を続けましたが、結局、ブルーリング星雲の正体を突き止めることはできませんでした。
そこで、研究チームは発想を転換しました。さまざまな天体が衝突した場合の理論的なコンピューターモデルをつくり、天体が衝突した場合に、どのように見え、何が起こるのか、を詳しく調べました。
すると、ついに、ブルーリング星雲は、私達の太陽ほどの大きさの恒星が、その1/10ほどの大きさの恒星を、引き裂き、呑み込むことによって形成されたことが解りました。
実は、このような恒星の合体は特に珍しいことではありません。私達の天の川銀河のなかだけでも、10年に1度ほどの割合で、このような恒星の合体が起こっていると考えられています。もしかしたら私達が目にする多くの恒星達は元々は2つの恒星だったのかもしれませんね。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech/M. Seibert (Carnegie Institution for Science)/K. Hoadley (Caltech)/GALEX Team
Source: NASA
文/飯銅重幸
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