スウェーデン産の科学観測装置が木星周辺の過酷な環境での生命探索ミッションを可能にする
sorae.jp / 2020年11月23日 11時0分
スウェーデン宇宙物理研究所(IRF)は、同研究所が開発した科学観測装置が木星周辺の生命探索ミッションに参加すると発表しました。
IRFの主導で開発されたのは「粒子環境観測パッケージ(PEP)」と呼ばれる科学観測装置です。PEPは欧州宇宙機関(ESA)が主導し2022年6月にギアナ宇宙センターから打ち上げられる予定の木星氷衛星探査計画「JUICE(Jupiter Icy Moons Explorer)」の探査機に搭載されるといいます。
JUICEで探索される予定の氷衛星は「エウロパ」「カリスト」「ガニメデ」の3つです。木星の強い磁場におけるプラズマ粒子や中性粒子の振る舞いを観測することで木星周辺の環境を理解し、そして3つの氷衛星が粒子から受ける影響を計測するのがPEPの役割です。
PEPを製造するに当たって大きな課題だったのが、太陽系でもっとも放射線の強い環境で計測を継続できるかどうかです。たしかに、氷衛星は太陽系の中でも魅力的な研究対象です。氷の地殻の下には海が存在すると考えられており、生命が生息するのに好都合な環境が眠る可能性があるといいます。
しかし氷衛星の環境は非常に過酷です。科学観測装置が木星環境で晒される放射線量は、1986年に原発事故が発生したチェルノブイリ原子力発電所(現・ウクライナ)のど真ん中で短期間に浴びる放射線量と比類しうるといいます。IRFが開発した科学観測装置はこうした過酷な環境に飛び込み、計測したデータを送り続けられる高い耐久性を実現したといいます。
PEPが問題なく計測を継続できれば、木星の生命探索プロジェクトはガニメデでJUICEを大破させることで無事終焉を迎えることになります。
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Image Credit: Airbus
Source: Phys.org
文/Misato Kadono
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