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マーチソン隕石などから太陽系形成以前につくられた有機物を検出

sorae.jp / 2020年12月11日 17時0分

今回検出されたヘキサメチレンテトラミンと宇宙における物質の進化の関係を解りやすく解説したイラスト。(Image Credit:北海道大学)

今回検出されたヘキサメチレンテトラミンと宇宙における物質の進化の関係を解りやすく解説したイラスト。(Credit:北海道大学)

北海道大学、東京大学などからなる研究チームは12月8日、マーチソン隕石などの3つの隕石から太陽系が形成される以前につくられた有機物を検出したと発表しました。検出されたのは、ヘキサメチレンテトラミンと呼ばれる有機物で、小惑星でアミノ酸や糖などがつくられるのに欠かせない有機物です。隕石からこのヘキサメチレンテトラミンが検出されたのは世界で初めてとなります。

星間分子雲は、星間空間にあって、濃いガスや塵(ちり)からできています。この星間分子雲のなかでは、水、アンモニア、一酸化炭素などの氷で覆われた塵に宇宙線や紫外線が当たることで、さまざまな有機物がつくられると考えられています。研究チームによれば、今回検出されたヘキサメチレンテトラミンもこのようにして星間分子雲のなかでつくられたと考えられるといいます。

その後、星間分子雲のなかで太陽系が形成され、星間分子雲のなかでつくられたさまざまな有機物は太陽系の惑星や小惑星などに取り込まれました。

こうして、小惑星のカケラである隕石にヘキサメチレンテトラミンが含まれることになったというわけです。

ところで、隕石からはこれまでにアミノ酸や糖などもみつかっています。アミノ酸や糖は複雑な有機物で生命の材料になります。

では、このような複雑な有機物は小惑星でどのようにしてつくられたのでしょうか?

小惑星でこのような複雑な有機物がつくられるためには材料としてホルムアルデヒドとアンモニアが欠かせませんが、ヘキサメチレンテトラミンと水を一緒にして熱を加えると、このホルムアルデヒドとアンモニアがつくられます。そのため、研究チームでは、ヘキサメチレンテトラミンは小惑星で生命の材料となる複雑な有機物がつくられるためのカギとなると考えています。

ところが、これまで、赤外線や電波による観測や隕石などの分析からは、ヘキサメチレンテトラミンが検出されたことはありませんでした。そのため、研究チームの今回の研究成果は世界で初めての画期的なものになります。

研究チームには、はやぶさ2によって持ち帰られたリュウグウのサンプルの初期分析に携わるメンバーも含まれています。研究チームでは、今後、リュウグウのサンプルからもヘキサメチレンテトラミンの検出を試みるそうです。

生命の起源の解明に大きな一歩となることを期待したいですね。

地球から約2400光年ほどのところにある「セフェウスB」と呼ばれる星間分子雲の画像。チャンドラX線観測衛星とスピッツァー宇宙望遠鏡のデータを合成して作成されている。(Image Credit:X-ray: NASA/CXC/PSU/K. Getman et al.; IRL NASA/JPL-Caltech/CfA/J. Wang et al.)

Image Credit: 北海道大学/X-ray: NASA/CXC/PSU/K. Getman et al.; IRL NASA/JPL-Caltech/CfA/J. Wang et al.
Source: 北海道大学
文/飯銅重幸

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