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NASA新型ロケットの打ち上げ能力を強化する「EUS」の詳細設計審査が完了

sorae.jp / 2020年12月25日 11時20分

SLSのコアステージから分離されたEUSとオリオン宇宙船を描いた想像図(Credit: Boeing)

SLSのコアステージから分離されたEUSとオリオン宇宙船を描いた想像図(Credit: Boeing)

ボーイングは12月21日、現在開発が進められているアメリカ航空宇宙局(NASA)の新型ロケット「SLS(スペースローンチシステム)」で使われる「EUS(Exploration Upper Stage、探査上段)」の詳細設計審査が完了したことを発表しました。これにより、EUSの開発はハードウェアの製造に移行することになります。

EUSはSLSの「ブロック1B」や「ブロック2」と呼ばれる構成の第2段として使用される上段ステージです。ブロック1Bは並行して開発が進められている新型有人宇宙船「オリオン」および10トン以上の追加のペイロード(搭載物)を含む38トンのペイロードを、オリオン宇宙船を搭載しない場合は42トンのペイロードを月へ向かう軌道に投入する能力を有します。

ブロック1BはNASAの有人月面探査計画「アルテミス」における2回目の有人月面探査ミッション「アルテミス4」から用いられる予定で、その後は打ち上げ能力をさらに強化したブロック2へと切り替えていくことが計画されています。

なお、2021年11月に予定されているオリオン宇宙船の無人飛行試験ミッション「アルテミス1」から2024年に予定されているアルテミス計画最初の有人月面探査ミッション「アルテミス3」までは、第2段に「ICPS(Interim Cryogenic Propulsion Stage、暫定的な極低温推進ステージ)」を採用したSLSの「ブロック1」が用いられます。

ICPSはユナイテッドローンチアライアンス(ULA)が運用するロケット「デルタIV」の上段ステージをベースに開発されたもので、EUSのエンジン(RL10)が4基であるのに対してICPSは同じエンジンを1基のみ搭載。ブロック1が月へ向かう軌道に投入できるペイロードはブロック1Bよりも少ない27トンで、アルテミス計画最初の3ミッションおよび木星の衛星エウロパを探査する「エウロパクリッパー」の打ち上げに用いられる予定です。

 

Image Credit: Boeing
Source: Boeing / NASA
文/松村武宏

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