力強い星の光を反射して輝く“オリオン座”の星雲「M78」
sorae.jp / 2021年1月3日 21時8分
こちらの画像の中央に写っているのは星雲「M78」(NGC 2068)の姿です。星雲の左上から右下にかけて伸びる暗いアーチ状の構造や、その向こう側で青白く輝く分子雲の広がりが見事に捉えられています。M78の左上には別の星雲「NGC 2071」の姿も見えています。
M78というと日本では特撮作品のウルトラマンシリーズに登場するキャラクターの故郷としてその名が知られていますが、実際のM78はオリオン座の方向およそ1400光年先にある直径約4光年とされる反射星雲です。見かけの等級は8等で、小さな望遠鏡でも観測することが可能です。
反射星雲とは、ガスや塵の集まりである分子雲が恒星の光を反射することで輝く星雲のこと。ヨーロッパ南天天文台(ESO)によると、M78では中心付近に2つの明るい星(HD 38563AおよびHD 38563B)があり、この星の光を反射することで輝いているといいます。アーチ状の構造が反射光を隠していることからもわかるように、濃密な分子雲は光を遮ってしまうため、M78の背後にあるはずの星々の光も覆い隠されています。
ガスや塵が豊富な分子雲は星が新たに形成される場所でもあります。M78には星雲を輝かせている2つの星以外にも数多くの星があり、そのなかには星の中心で水素の核融合がまだ始まっていない「おうし座T型星(Tタウリ型星)」と呼ばれるタイプの若い星(誕生から1000万年未満)も含まれているといいます。星形成の初期段階や惑星の形成を理解する上で、おうし座T型星は重要な研究対象となっています。
冒頭の画像はESOのラ・シヤ天文台にあるMPG/ESO 2.2m望遠鏡によって可視光線の波長で観測されたもので、2011年2月16日付で公開されています。
Image Credit: ESO/Igor Chekalin
Source: ESO (1) / ESO (2) / NASA
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影 2021年と2023年に超新星が見つかった渦巻銀河「NGC 4414」
sorae.jp / 2024年11月2日 18時41分
-
じーっと見つめる目のような相互作用銀河 ハロウィンにあわせNASAやESAが紹介
sorae.jp / 2024年11月1日 16時58分
-
ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した小マゼラン雲の散開星団「NGC 602」
sorae.jp / 2024年10月28日 20時57分
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“みずがめ座”の共生星「みずがめ座R星」
sorae.jp / 2024年10月25日 21時49分
-
巨大なリング構造が印象的な“うお座”の極リング銀河「NGC 660」すばる望遠鏡が撮影
sorae.jp / 2024年10月21日 20時22分
ランキング
-
1“執事”が明かす、超富裕層たちの意外すぎる日常。一般人との出会いは皆無、結婚相手で多いのは
日刊SPA! / 2024年11月19日 15時53分
-
2あまり使っていない「固定電話」を解約しようか迷っています。インターネットひかり電話なのですが、解約するとインターネットも使えなくなるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月19日 4時30分
-
3英語力、日本は過去最低の92位 国際化に逆行、低下続く
共同通信 / 2024年11月19日 15時42分
-
4男女600人超が答えた「今、取りたい資格」ランキング 2位「日商簿記検定」…1位は?
オトナンサー / 2024年11月18日 21時10分
-
5「冬用ルームシューズ」おすすめ3選 あったか素材のものや冷気を防ぐアイテムで、足元を冷えから守る【2024年11月版】
Fav-Log by ITmedia / 2024年11月19日 19時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください