“うお座”で共演する楕円銀河と渦巻銀河の輝き
sorae.jp / 2021年1月4日 21時10分
何百億、何千億もの星々が集まっている銀河は、その形態で何種類かに分類されています。私たちが住む天の川銀河やお隣のアンドロメダ銀河(M31)は渦巻腕を持つ渦巻銀河や棒渦巻銀河に分類されていますが、銀河の種類には渦巻腕のように明確な構造が見られない楕円銀河やレンズ状銀河、星々が無秩序に集まっているように見える不規則銀河といったものもあります。
こちらは「うお座」の方向およそ1億光年先にある楕円銀河「NGC 474」(左上)と、渦巻銀河「NGC 470」(右下)の姿です。チリのパラナル天文台にあるヨーロッパ南天天文台(ESO)の「超大型望遠鏡(VLT)」によって撮影されました。地球からは楕円銀河に渦巻銀河という分類の異なる2つの銀河が隣り合うように見えており、その違いを比べやすくなっています。
星の年齢に注目して渦巻銀河と楕円銀河を比較すると、前者では星形成活動によって若い星が誕生しており、後者には古い星が多いという特徴があります。古い星が多く全体的に黄色っぽいNGC 474に対し、NGC 470の渦巻腕には高温の若い星が数多く存在していることを意味する青い領域が広く分布していることがわかります。
また、楕円銀河であるNGC 474に渦巻腕はありませんが、よく見ると明るい中心部分を同心円状に何重にも取り巻くシェル構造がぼんやりと写っています。シェル構造はNGC 474の中心から遠く離れたところまで巻きひげのようにうっすらと広がっていて、この画像では全体像が捉えきれていません。
楕円銀河の一部にはこうしたシェル構造が見られますが、ESOによると、どうしてこのような構造ができるのか確実なことはまだ言えないといいます。研究者らはシェル構造の形成に重力が関わっていると信じていて、NGC 474の場合は右下に見えるNGC 470との数十億年に渡る相互作用の影響が考えられるとされています。
Image Credit: ESO
Source: ESO
文/松村武宏
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