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2020年唯一の皆既日食の画像 ダイヤモンドリングや「クロイツ群」彗星も

sorae.jp / 2021年1月12日 20時54分

空のダイヤモンド(Credit: Mariano Ribas (Planetario de la Ciudad de Buenos Aires))

空のダイヤモンドリング(Credit: Mariano Ribas (Planetario de la Ciudad de Buenos Aires))

2020年12月14日(日本時間では15日)、南太平洋からチリ、アルゼンチン、南大西洋にかけての地域で、2020年唯一の皆既日食が見られました。

皆既日食では月によって太陽面が完全に隠されますが、月面には起伏があるため、その縁の隙間から太陽光が漏れ出て一瞬だけ輝くことがあります。この現象はダイヤの付いた指輪のように見えるため、一般的に「ダイヤモンドリング」と呼ばれています。ダイヤモンドリングは太陽が完全に隠される直前と直後の2回見ることができます。

冒頭の画像はアルゼンチンのパタゴニア北部で撮影された写真で、2回目(太陽が完全に隠された直後)のダイヤモンドリングが曇り空の合間に撮影されました。月のシルエットの端に紅いプロミネンス(紅炎)も見えています。

以下の画像も同じ日の皆既日食を撮った写真ですが、地球で反射した太陽光が月面を照らす「地球照」によって照らされた月面の画像が合成されています。

2020年の皆既日食(Credit: Miloslav Druckmuller, Andreas Moller, (Brno University of Technology))

皆既日食と「地球照」によって照らされた月面の合成画像(Credit: Miloslav Druckmuller, Andreas Moller, (Brno University of Technology))

撮影された範囲が広いため、太陽コロナやプロミネンスだけでなく背景の星も写されています。ふだんは太陽のまぶしさに隠されて見ることのできない巨大な太陽コロナによる「コロナ質量放出」(太陽コロナ中のプラズマが大量に放出される現象)がとくに印象的です。

さらに画像左下の領域(時計に例えれば7時の方角)に注目してください。尾を引いて太陽に近づく小さな彗星の姿が見えます。皆既日食の前日12月13日に発見されたばかりのサングレーザーと呼ばれるクロイツ群に属する彗星です。「サングレーザー」とは太陽に至近距離まで近づく彗星を指し、「クロイツ群」とは1,000年以上も前に一つの彗星が分裂し、その破片が起源とされている一群の彗星のことです。この彗星は「C/2020 X3 SOHO」と名付けられましたが、強い太陽放射によってすでに崩壊してしまっています。

次の金環日食は2021年6月10日に北極付近で、皆既日食は2021年12月4日に南極大陸付近で見ることができます。

 

Image Credit: Mariano Ribas (Planetario de la Ciudad de Buenos Aires) , Miloslav Druckmuller, Andreas Moller, (Brno University of Technology)
Source: APOD (1)(2)
文/吉田哲郎

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