隅々まで美しい棒渦巻銀河を眺めてみよう 南天“ちょうこくしつ座”の「NGC 613」
sorae.jp / 2021年1月14日 23時30分
こちらは南天の「ちょうこくしつ座」(彫刻室座)の方向およそ6700万光年先にある棒渦巻銀河「NGC 613」です。中央の明るいバルジとそこから伸びる棒状の構造、バルジや棒状構造を取り巻く青い渦巻腕、そして渦巻腕から棒状構造を経てバルジへと連なる帯状のダストレーン、これらが織りなす美しい銀河の姿が画像には見事に捉えられています。
私たちが住む天の川銀河をはじめ渦巻銀河全体の約3分の2は棒渦巻銀河とされていますが、中央にはっきりとした棒状の構造を持つNGC 613について、欧州宇宙機関(ESA)は棒渦巻銀河の美しき一例と表現しています。近年の研究では棒渦巻銀河にみられる棒状構造がより一般的なものであることが示されており、銀河の形成と進化についての重要な手がかりになると考えられています。
また、ほとんどの銀河の中心には超大質量ブラックホールが存在すると考えられていて、たとえば天の川銀河の中心には太陽の400万倍ほどの質量を持つブラックホールがあると確実視されています。NGC 613も例外ではなく、その中心には太陽の数千万倍の質量があるブラックホールが存在するとみられています。
冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」によって観測されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚としてESAから2021年1月11日付で公開されています。
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, G. Folatelli
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏
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