2020年に起きたベイルートの爆発、核以外では歴史上最大級の規模だった
sorae.jp / 2021年2月5日 21時17分
北海道大学大学院の日置幸介氏らの国際研究グループは、2020年8月にレバノンの首都ベイルートで発生した大規模な爆発の規模を分析した結果、核実験以外の爆発では人類が起こしたものとして歴史上最大級の規模だったとする研究成果を発表しました。
現地時間2020年8月4日18時頃、ベイルート港で不適切な管理状況にあったとみられる火薬倉庫が爆発。NHKはレバノン政府の発表として死者205人、負傷者6500人以上と報じています。爆発後に撮影された衛星画像には火薬倉庫とその周辺にあった建物などに甚大な被害が及んだ様子が写っており、爆発の責任を取る形で内閣が総辞職した後のレバノンでは政治的な混乱も続いています。
この爆発の規模を調べるために、研究グループは地球の大気を構成する物質の一部がイオン化(電離)している電離圏(高度約60~1000km以上)に注目しました。電離圏ではイオン化にともなう自由電子が数多く飛び交っていますが、地上で火山の噴火などによる大規模な爆発が発生するとその爆風(音波)が電離圏まで到達し、電子の密度が変化する電離圏擾乱が生じます。
研究グループがイスラエルやパレスチナで測定された全球測位衛星システム(GNSS※)のデータを分析した結果、ベイルートで爆発が起きてから約10分後には高度300kmの電離圏F領域(電子の密度が最も高い領域)に爆風(音波)が到達し、電子密度の濃淡が作り出した電離圏全電子数(TEC)に揺らぎが生じていたことが判明。揺らぎの振幅から爆発の規模を求めたところ、2004年9月1日に群馬・長野県境の浅間山で起きた噴火よりもわずかに大きく、冒頭でも触れたように核実験を除き人類が起こしたものとしては歴史上最大級の爆発だったことが明らかになったといいます。
※…Global Navigation Satellite System、GPS(アメリカ)やQZSS(日本)なども含む測位衛星システムの総称
研究グループは、全球測位衛星システムを用いた電離圏観測法は世界中で起きたさまざまな爆発現象をモニターすることが可能であり、今後も爆発規模の推定などでの有効利用が期待されるとしています。
Image Credit: 北海道大学 / Shutterstock
Source: 北海道大学 / NHK
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
NASA発表「太陽の活動"極大期"」今後1年は要注意 3つの危険物質、通信障害も?わかりやすく解説
東洋経済オンライン / 2024年10月19日 9時0分
-
JAXAが低軌道測位衛星システムの実現可能性調査でアークエッジ・スペースを選定
sorae.jp / 2024年10月18日 17時5分
-
NASAとNOAAが第25太陽活動周期の極大期到達を発表 あと1年ほど続くと予想
sorae.jp / 2024年10月17日 17時0分
-
アークエッジ・スペース、JAXAの低軌道測位衛星システム(LEO PNT)に関するフィージビリティスタディに選定
PR TIMES / 2024年10月17日 12時45分
-
大規模な太陽フレア発生 GPSや通信への影響懸念
共同通信 / 2024年10月9日 20時10分
ランキング
-
1大部分のサプリメントは無意味! 日本だけで1兆円の市場規模も医学的なエビデンスはなし
集英社オンライン / 2024年11月2日 17時0分
-
2スマホの充電量をいつも「100%」にしていますが、友人に「バッテリーが消耗するよ」と言われました。そんなに劣化するものなのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月1日 4時20分
-
3好感度ワースト1位なのに!? アンチが多いはずのタレントがテレビや広告から消えないワケ
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月31日 8時15分
-
4【ダイソー】旅ライターがガチですすめる! 便利なお出かけアイテム10選
マイナビニュース / 2024年11月2日 10時30分
-
5『ゴジラ-1.0』の「ハッピーエンドか分からん」ラストの意図は? 続編はあるのか
マグミクス / 2024年11月1日 23時45分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください