3万2000光年先の恒星最期の姿 “たて座”の惑星状星雲
sorae.jp / 2021年2月13日 17時0分
こちらは「たて座」(楯座)の方向およそ3万2000光年先にある惑星状星雲「M1-63」の姿です。画像のオレンジ色は電離した酸素の分布に対応しています。超新星爆発を起こさない太陽のような比較的軽い恒星(質量が太陽の8倍以下)が晩年を迎えると、赤色巨星へと進化して周囲にガスや塵を放出します。やがて赤色巨星から白色矮星へと進化していく熱い中心星が放射する紫外線によってガスが電離して輝くようになった天体は、昔の望遠鏡で観測すると惑星のように見えたことから「惑星状星雲」と呼ばれています。
惑星状星雲のなかには整った円形をしているものもあれば、蝶の羽、鳥の翼、砂時計などにたとえられる双極性の形をしているものもあります。画像のM1-63も星雲の中心付近をはさんで反対方向に伸びている双極性の構造が捉えられています。
このような形の惑星状星雲は「双極性星雲」とも呼ばれています。双極性星雲の形成には接近して周回する連星が関わっていて、赤色巨星のガスが連星の相互作用によって双極方向に噴出することで、鳥の翼や砂時計に似た姿になると考えられています。双極性星雲はM1-63の他にも「M2-9」や「NGC 6302」などが知られています。
冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」による光学観測のデータをもとに作成されたもので、ESAからハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として2021年2月8日付で公開されています。
関連:【宇宙天文を学ぼう】恒星の最後の輝き 惑星状星雲とは?
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, L. Stanghellini
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏
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