「南の回転花火銀河」と呼ばれる”うみへび座”の渦巻銀河M83
sorae.jp / 2021年2月15日 23時28分
こちらは南天の「うみへび座」の方向およそ1500万光年先にある渦巻銀河「M83」(NGC 5236)です。M83は地球に正面を向けた、いわゆる「フェイスオン銀河」のひとつで、おおぐま座の「回転花火銀河」こと「M101」と並び「南の回転花火銀河(Southern Pinwheel Galaxy)」とも呼ばれています。
関連:メシエが見た宇宙のかざぐるま(M101)
M83の円盤部分の直径は天の川銀河の半分程度となる約5万光年。米国科学財団の国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)は、天の川銀河が別の銀河からどう見えるのかを想像する上でM83が良い見本になるかもしれないとしています。
見事に渦巻くM83を捉えたこの画像は、可視光と赤外線の各波長に対応する6種類のフィルターを使って合計163回、延べ11時間以上の露光時間を費やした観測データから作成されています。異なる波長の観測データが組み合わせられた画像には、暗い帯のようなダストレーンや若い恒星が放つ紫外線によって電離した水素ガスが赤く輝く無数の星形成領域などが詳細に描き出されています。
撮影に用いられたのはチリのセロ・トロロ汎米天文台にあるブランコ4m望遠鏡の観測装置「ダークエネルギーカメラ(DECam)」です。満月約14個分の広さ(3平方度)を一度に撮影できる巨大なデジタルカメラ(画素数約520メガピクセル)のようなダークエネルギーカメラは、その名の通りダークエネルギー(暗黒エネルギー)の研究を主な目的として開発されました。
ダークエネルギー研究のための観測が2013年から2019年にかけて実施された後もダークエネルギーカメラの運用は続いており、先日はダークエネルギーカメラによって撮影された大小マゼラン雲の高精細な画像も公開されました。冒頭のM83の画像は国立光学・赤外天文学研究所から2021年2月8日付で公開されています。
関連:南米の望遠鏡が撮影した大小マゼラン雲の高精細な画像
Image Credit: CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA
Source: NOIRLab
文/松村武宏
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