NASAの探査車「Perseverance」火星への着陸に成功、地表の様子を撮影

sorae.jp / 2021年2月19日 11時37分

火星探査車「Perseverance」が初めて撮影した画像。着陸地点であるジェゼロ・クレーターの地表が写っている(Credit: NASA/JPL-Caltech)

火星探査車「Perseverance」が初めて撮影した画像。着陸地点であるジェゼロ・クレーターの地表が写っている(Credit: NASA/JPL-Caltech)

2021年2月19日(日本時間、以下同様)、アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査ミッション「マーズ2020」の探査車「Perseverance(パーセベランス、パーサヴィアランス)」が火星のイシディス平原西端にある直径約45kmのジェゼロ・クレーターに着陸しました。Perseveranceの着陸成功により、かつての火星で誕生したかもしれない生命の探索を重要な目的とするマーズ2020の現地での探査活動がいよいよ始まることになります。

2020年7月30日にフロリダのケープカナベラル空軍基地から打ち上げられたPerseveranceは、約4億7200万km、203日間の飛行を終えて火星に到達。地球から火星までは通信にタイムラグが生じるためPerseveranceは自らの判断で火星大気圏への突入を乗り切り、無事着陸したことが5時55分に確認されました。

Perseveranceからは早くも着陸直後に撮影された冒頭の画像が送られてきており、あちこちから石が顔を出している地表の様子が捉えられています。Perseveranceが探査を行うジェゼロ・クレーターの地形は2012年に火星探査車「キュリオシティ」が着陸したゲール・クレーターよりも着陸しづらく、崖、砂丘、岩海といった障害物も多いとされていますが、画像に写る地表は比較的穏やかに見え、障害物をうまく避けて着陸できたことがうかがえます。

関連:火星探査車「Perseverance」危険な障害物を避け着陸成功に導く2つの技術

ジェゼロ・クレーターは今から35億年以上前に外部から水が流入したことで湖が存在していたとみられており、クレーターの西側にある地形は水が運んだ堆積物によって形成された三角州と考えられています。NASAの火星探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)」による軌道上からの観測では、かつて水があったことを示唆する粘土鉱物の存在が判明しています。

水で満たされていた頃のジェゼロ・クレーター西部を描いた想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech/University of Arizona)

水があった当時のジェゼロ・クレーターは生命が生存できる環境を一定の期間保っていた可能性があり、もしも生命が誕生していたとすれば、その痕跡が今も残っているかもしれません。Perseveranceははるか昔に干上がった湖の底でサンプルを採取し、チューブ状の保管容器に封入した上で地上に残します。保管容器は現在NASAと欧州宇宙機関(ESA)で計画されている火星地表からのサンプルリターンミッションで回収されることが前提になっており、予定通りなら10年ほど後に地球へと持ち帰られ、地球の研究施設で分析されることになります。

関連:Perseveranceが集めたサンプルを回収する探査車、ESAが開発中

また、Perseveranceには「Ingenuity(インジェニュイティ)」と呼ばれる小型ヘリコプターが搭載されています。Ingenuityの重さは約1.8kg、本体はボックスティッシュほどと小さなサイズ。観測機器などは搭載されていないものの、濃度が地球の1パーセント程度しかない火星の大気中における飛行の実証がIngenuityの目的となっており、得られた知見は将来のミッションにおける上空からの観測や宇宙飛行士との連携に役立てられることになります。

関連:火星の大空を飛行する火星ヘリコプター「インジェニュイティ」

なお、2020年7月には世界で3つの火星探査機・探査車が打ち上げられ、このうちアラブ首長国連邦(UAE)の探査機「HOPE」(アル・アマル)と中国の「天問1号」は2月10日に火星の周回軌道へ入っています。今回のPerseverance着陸をもって3機すべてが無事火星に到着し、それぞれのミッションが始まることになります。

Perseveranceと地表に残されたサンプルの保管容器を描いた想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech)

 

Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Source: NASA/JPL
文/松村武宏

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