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着陸時の動画や火星の風の音。NASA探査車「Perseverance」新たなデータ公開

sorae.jp / 2021年2月23日 17時7分

現地時間2月22日、アメリカ航空宇宙局(NASA)は日本時間2月19日朝に火星へ着陸した火星探査車「Perseverance(パーセベランス、パーサヴィアランス)」の新たな画像と着陸時に撮影された動画、そして火星の地表で初めて録音された音を公開しました。

■上空から地表に降り立つまでの様子を撮影した動画

▲Perseverance Rover’s Descent and Touchdown on Mars (Official NASA Video)▲
(Credit: NASA/JPL-Caltech)

カラー撮影が可能な複数のカメラを搭載しているPerseveranceは、火星の大地に接する前から撮影を始めていました。今回公開されたこちらの動画は、高度約1万1000mの上空から着陸までの様子を捉えた各カメラの映像を1本に収めたものです。着陸当日にPerseveranceから送られてきたデータを読み上げるミッションコントロールの音声も収録されています。

動画はバックシェル上部のカメラがパラシュートの展開を捉えたところから始まります。耐熱シールドの分離に続いてPerseverance本体下部のカメラが眼下に広がる火星の地表を撮影し始めてからはゆっくりと揺れるような降下がしばらく続きますが、Perseverance本体を含む降下ステージを収めていたバックシェルが切り離されると揺れはおさまり、降下ステージのロケットエンジンを使った降下が始まります。

降下中にPerseverance本体下部のカメラが撮影した火星の地表。NASA公開の動画より(Credit: NASA/JPL-Caltech)

降下中にPerseverance本体下部のカメラが撮影した火星の地表。NASA公開の動画より(Credit: NASA/JPL-Caltech)

地表が間近に迫ると、Perseveranceは降下ステージからケーブルで吊り下げられた「スカイクレーン(sky crane)」と呼ばれる形態に移ります。スカイクレーンの様子は降下ステージのカメラが撮影した動画から切り出された静止画が先行して公開されていましたが、今回の動画では降下ステージのカメラに加えてPerseverance本体のカメラが見上げるように捉えた降下ステージの姿や、直下の地表の様子も写っています。

動画はPerseveranceの接地直後に切り離された降下ステージが飛び去り、接地を確認したミッションコントロールが歓声に満ちたところで終了します。NASA科学ミッション本部の副本部長Thomas Zurbuchen氏は「私たちの一員となって宇宙機を作り、他の世界を探検したいと願う若者が必ず目にする映像になるはずです」と語ります。

Perseverance本体上部のカメラが撮影した降下ステージ(左上)、降下ステージのカメラが撮影したPerseverance(左下)、Perseverance本体下部のカメラが撮影した直下の地表(右)。NASA公開の動画より(Credit: NASA/JPL-Caltech)

Perseverance本体上部のカメラが撮影した降下ステージ(左上)、降下ステージのカメラが撮影したPerseverance(左下)、Perseverance本体下部のカメラが撮影した直下の地表(右)。NASA公開の動画より(Credit: NASA/JPL-Caltech)

近年ではロケットの打ち上げや国際宇宙ステーション(ISS)における船外活動などの様子は映像を通しておなじみの光景になりつつありますが、これからは別の天体に探査機・探査車が降り立つ瞬間も鮮明な映像で見られるようになるのだろう、そんなことを強く感じさせる動画です。

関連:動画で再現! NASA最新の探査車はこうして火星の大地に降り立つ

■マイクは着陸後に火星で吹く風の音を捉えた

▲Perseveranceのマイクが録音した火星の風の音(ノイズ除去バージョン)(Credit: NASA/JPL-Caltech)

こちらの音はPerseveranceに搭載されているマイク「EDL Microphone」によって現地時間2月20日に録音されたもので、ジェゼロ・クレーターで吹く風の音が捉えられています。音声ファイルはこちらのノイズを除去したバージョンのほかに、ノイズを含むオリジナルバージョンも公開されています。

録音に用いられたマイクは宇宙探査用に設計されたものではない市販品で、火星大気圏への突入、降下、着陸(Entry、Descent、Landing:EDL)の過程における音を捉えるために搭載されました。NASAによると降下中の録音はうまくいかなかったものの、着陸後にこの音を録音することができたといいます。

NASA・ジェット推進研究所(JPL)のエンジニアDave Gruel氏は「火星探査に強い関心を示す一般の人々、とりわけ視覚に障害がある宇宙ファンの体験が充実するとともに、世界中の人々を惹きつけ刺激をもたらすことを望み、私たちはマイクを追加することにしました」とコメントしています。

関連:NASAの火星探査車「Perseverance」が飛行中に録音した「音」が公開される

■NavCamが撮影したパノラマ画像も公開 Perseveranceの「NavCam」が撮影した画像をつなぎ合わせて作成されたパノラマ画像(Credit: NASA/JPL-Caltech)

Perseveranceの「NavCam」が撮影した画像をつなぎ合わせて作成されたパノラマ画像(Credit: NASA/JPL-Caltech)

また、Perseveranceの“頭”とも表現されるマストに搭載されているナビゲーション用のカメラ「NavCam」によって撮影された6枚の画像をつなぎ合わせた360度のパノラマ画像なども公開されています。JPLではPerseveranceの各システムのチェックが進められていて、数日後には静止画・動画・3Dステレオ画像のカラー撮影に対応する「Mastcam-Z」による高解像度のパノラマ撮影も予定されています。

 

関連:火星探査車「Perseverance」について知っておきたい7つのこと

Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Source: NASA/JPL
文/松村武宏

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