オウムアムアの正体に新説、冥王星に似た天体の破片が数億年かけて飛来した可能性
sorae.jp / 2021年3月18日 20時51分
アリゾナ州立大学のSteven Desch氏とAlan Jackson氏は、2017年10月に発見された観測史上初の恒星間天体「オウムアムア(’Oumuamua)」について、冥王星のような天体の破片だった可能性を示した研究成果を発表しました。両氏は同様の天体の観測を通して太陽系外の冥王星に似た天体の表面組成を直接調べる機会が得られるかもしれないと期待を寄せています。
■発見時点で最大50メートルに満たない窒素の氷でできた天体だった可能性太陽系の天体にはあまり見られない細長い形あるいは扁平な形をしていると予想され、彗星のようにガスを噴出する様子が観測されなかったにもかかわらず重力だけでは説明できない速度の変化を示したオウムアムアの正体は、発見から3年半が経った現在も議論が続いています。
今回Desch氏とJackson氏は、オウムアムアの特徴的な形や重力以外の要因による加速を説明できる組成を検討。オウムアムアを形作っていると予想されるさまざまな物質の氷(水素分子、窒素分子、酸素分子、水、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、アンモニア、ネオン)がどれくらいの速さで昇華するのかを算出し、ガスの噴出にともなう加速、天体の質量および形状、氷の反射率などを分析しました。
その結果、オウムアムアが窒素分子の氷でできた天体だとすれば、観測された特徴をうまく説明できると両氏は結論付けました。窒素の氷は太陽系では冥王星や海王星の衛星トリトンといった天体の表面で見つかっています。両氏はオウムアムアがもともと別の惑星系にある冥王星に似た天体の一部であり、およそ4億~5億年前に起きた衝突によって断片化し、惑星系を脱出して恒星間天体になったと考えています。
両氏によると窒素の氷でできたオウムアムアは反射率が高く(今回示されたアルベドは0.64)、そのサイズは最大で400メートル近いとされていた従来の予想よりもずっと小さな45×44×7.5メートルと推定されています。ただしこれは発見された時点でのサイズで、惑星系を脱出した当初はもっと大きかった(92×91×54メートル)とみられています。Jackson氏によると、太陽系を通過する過程で氷が昇華したためにオウムアムアの形状は小さくなった石鹸のように扁平になり、質量の95パーセントを失ったと考えられています。
関連:恒星間天体オウムアムアの正体は「水素分子の氷山」ではなかった?
Image Credit: William Hartmann
Source: アリゾナ州立大学 / アメリカ地球物理学連合
文/松村武宏
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