天の川銀河の中心部で激しい星形成活動が始まる可能性が明らかに
sorae.jp / 2021年3月30日 20時35分
国立天文台は3月29日、アルマ望遠鏡の観測から天の川銀河の中心部にたくさんの原始星が隠されていることが解ったと発表しました。これまでこの領域は星の形成活動には適さない環境だと考えられてきましたが、研究チームによれば、今後、この領域で激しい星の形成活動が始まる可能性があるといいます。
天の川銀河の中心部には1000光年ほどに渡ってガスや塵からなる星間分子雲が集っています。そのため天の川銀河のこの領域を中心分子雲帯といいます。
通常、星は星間分子雲のなかで誕生します。しかし、この中心分子雲帯では、いて座B2などの領域を除くと、星はあまり誕生しないと考えられてきました。
なぜなら、この領域では、激しいガスの乱流や強力な磁場が存在したり、頻繁に超新星爆発が起こったりして、ガスが自分の重力で集まることを妨げているためです。
ところが、研究チームが、高い感度と解像度をほこるアルマ望遠鏡を使って、すでにこの領域でみつかっていた800個を超える高密度のガスの塊を詳しく観測したところ、43個のアウトフローがみつかりました。アウトフローとは原始星が噴き出す高速のガスの流れ(~10km/sほど)です。つまり、高密度のガスの塊の奥に生まれたての原始星がたくさん隠されていたというわけです。
なお、原始星とは、ガスが自分の重力で集まったもので、まだ核融合反応は始まっていません。その重力によってさらに周りのガスを集め、中心部が高温・高圧になり、核融合反応が始まることで、一人前の恒星になります。いわば恒星の赤ちゃんのようなものです。
研究チームでは、800個を超える高密度のガスの塊、いわば星の卵があるにもかかわらず、43個のアウトフローしかみつからなかったことから、これから中心分子雲帯で本格的な激しい星の形成活動が始まる可能性があるとしています。
研究チームを率いる国立天文台のシン・ルー特任研究員は「もしかしたら私達は次の大きな星のベビーブームの始まりをみているのかもしれません」と語っています。
Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Lu et al.
Source:国立天文台プレスリリース/アルマ望遠鏡プレスリリース
文/飯銅重幸
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