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重なり合った銀河が描くスマイル。しし座の相互作用銀河「Mrk 739」

sorae.jp / 2021年4月30日 21時8分

相互作用銀河「Mrk 739」(Credit: ESO/Tubín et al.)

【▲ 相互作用銀河「Mrk 739」(Credit: ESO/Tubín et al.)】

宇宙にはこちらを見つめる「顔」や「目」を思わせる天体が幾つかありますが、この「Mrk 739」(NGC 3758)もその一つ。ヨーロッパ南天天文台(ESO)が公開した画像には、輝く2つの目をこちらに向けた笑顔のようにも見える天体が写っています。

Mrk 739は「しし座」の方向およそ4億3000万光年先にある相互作用銀河です。目を思わせる明るい領域は銀河の中心部分で、地球からは2つの銀河が重なり合ったように見えています。Mrk 739は(天文学的なスケールで)地球に比較的近く、銀河が合体するプロセスを理解する上で興味深い研究対象のひとつとされています。

チリ・カトリック大学のDusán Tubín氏らは、現在観測されているMrk 739について、楕円銀河と棒渦巻銀河が最初の遭遇に至った段階なのではないかと考えています。右手前にある棒渦巻銀河の中心部分(画像に向かって右側の「目」)や渦巻腕の間から、左奥にある楕円銀河の中心部分(向かって左側の「目」)がたまたま見えているために、地球からはスマイリーマークのように見えるというわけです。

ESOの「超大型望遠鏡(VLT:Very Large Telescope)」を使ってMrk 739を観測したTubín氏らによると、左奥にある楕円銀河には古い星が目立ついっぽうで、右手前にある棒渦巻銀河には新たな星を生み出す星形成領域が存在するといいます。また、画像左上に向かってうっすらと伸びている細長い構造は、銀河の強い重力がもたらす潮汐力によって棒渦巻銀河の中心付近から伸びた潮汐の尾(tidal tail)とみられています。

画像はVLTの分光観測装置「MUSE」の観測データをもとに作成されたもので、ESOの今週の一枚として2021年4月26日付で公開されています。

 

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Image Credit: ESO/Tubín et al.
Source: ESO
文/松村武宏

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