観測史上最古、124億年前の「渦巻銀河」はどんな天体?
sorae.jp / 2021年5月27日 20時32分
国立天文台などは5月21日、観測史上最古、124億年前の渦巻構造を持つ銀河「BRI 1335-0417」が発見されたと発表しました。宇宙は今から138億年前に誕生しましたが、宇宙の誕生からわずか14億年後の宇宙に、しっかりとした渦巻構造を持つ銀河が発見されたことは、銀河の形はどのようにして決まるのか、渦巻銀河の渦巻構造はいつどのようにしてできたのか、などの天文学の古典的な謎を解く糸口になる可能性があるといいます。
私達の天の川銀河のような渦巻銀河は、現在、宇宙にたくさん存在しています(全体の7割ほど)。しかし、100億年以上前になると、銀河自体はたくさん存在しているにもかかわらず、渦巻銀河は、非常に少なく、数個しか見つかっていません。そして、そのうち、これまで最古のものは「114億年前のもの」でした。
BRI 1335-0417は、これまでの観測から124億年前に存在していたことは解っていましたが、津久井崇史さんなどからなる研究チームが、アルマ望遠鏡のデータを使って、詳しく分析したところ、コンパクトで明るい中心部分とその中心部分から上下に伸びる腕が渦を巻いているような構造がみつかりました。これは渦巻銀河の特徴によく似ています。
また、BRI 1335-0417内部のガスの動きを詳しく分析したところ、渦巻銀河内部におけるガスの動きのバターンとよく一致していることも解りました。
研究チームによれば、BRI 1335-0417の腕はその中心から1万5000光年ほど伸びているといいます。BRI 1335-0417の大きさ(直径)を天の川銀河(直径10万光年ほど)と比べると、1/3ほどということになります。また、BRI 1335-0417の質量は太陽質量の600億倍ほどと考えられるといいます。ちなみに、天の川銀河の質量は太陽質量の600億倍~700億倍ほどと考えられています。
津久井崇史さんによれば、このようなBRI 1335-0417は、「宇宙の初期に存在した銀河としては、とても巨大な銀河」だといいます。
宇宙が誕生してからわずか14億年でこのような渦巻構造がどのようにして形成されたのかはまだ大きな謎ですが、研究チームによれば、長い宇宙の歴史の中で、銀河の形がどのように変わってきたのか解明するために、BRI 1335-0417は重要な役割をはたすことが期待されるといいます。
Image Credit:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), T. Tsukui & S. Iguchi
Source:国立天文台/アルマ望遠鏡
文/飯銅重幸
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