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星を撒き散らす様な歪んだ銀河「NGC 2276」の姿

sorae.jp / 2021年5月28日 23時5分

渦巻銀河「NGC 2276」(Credit: ESA/Hubble & NASA, P. Sell, Acknowledgement: L. Shatz)

【▲ 渦巻銀河「NGC 2276」(Credit: ESA/Hubble & NASA, P. Sell, Acknowledgement: L. Shatz)】

こちらは「ケフェウス座」の方向およそ1億2000万光年先にある銀河「NGC 2276」。画像の幅はおよそ8万8000光年に相当します。NGC 2276の姿は一見すると他の渦巻銀河とそう変わらないように思えますが、バルジと呼ばれる星々が集まった明るい中心部分を基準に観察してみると、画像に向かって右側の渦巻腕が外側へ広がるように歪んでいることがわかります。

より広い範囲を捉えた下の画像を見るとわかるように、実はNGC 2276の近くには「NGC 2300」と呼ばれるレンズ状銀河があります。欧州宇宙機関(ESA)によると、NGC 2276とNGC 2300は重力を介して相互作用しており、その結果としてNGC 2276の一番外側の渦巻腕が歪んだとみられています。

いっぽう、NGC 2276の画像に向かって左側の部分では星形成活動が盛んで、誕生した巨大で高温な青い星々が左上の渦巻腕を明るく輝かせています。激しい星形成活動は過去に起きた矮小銀河との衝突か、あるいは銀河団内部の高温ガスにNGC 2276が衝突したことで引き起こされたと考えられています。

なお、特異な姿をした銀河はNGC 2276の他にも数多く見つかっていて、1966年には特異銀河をまとめたカタログ「アープ・アトラス(The Atlas of Peculiar Galaxies)」が発行されています。NGC 2276の場合、1本の明るい渦巻腕を持つことと、NGC 2300と相互作用していることから、アープ・アトラスの2つの項目にその名が記載されています。

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」による光学および紫外線の観測データをもとに作成されたもので、ハッブルを運用する宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)とESAから2021年5月27日付で公開されています。

レモン山天文台で撮影されたNGC 2276(左)とNGC 2300(右)(Credit: Adam Block/Mount Lemmon SkyCenter/University of Arizona)

【▲ レモン山天文台で撮影されたNGC 2276(左)とNGC 2300(右)(Credit: Adam Block/Mount Lemmon SkyCenter/University of Arizona)】

 

関連:重なり合った銀河が描くスマイル。しし座の相互作用銀河「Mrk 739」

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, P. Sell, Acknowledgement: L. Shatz
Source: STScI / ESA/Hubble
文/松村武宏

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