南極大陸で巨大な氷山「A-76」が誕生 数日間だけ世界最大だった
sorae.jp / 2021年6月7日 21時32分
欧州宇宙機関(ESA)は5月19日 、南極大陸から巨大な氷山「A-76」が誕生したと発表しました。
A-76のサイズは長さが約170km、幅は約25km。面積は約4320平方キロメートルで富山県と同程度です。この巨大氷山は南極半島の東側に広がるウェッデル海に張り出したロンネ棚氷(たなごおり)から分離しました。
南極大陸はたいへん分厚い氷に覆われています。その厚さは平均2500メートルです。このように南極大陸全体を覆う厚い氷のことを氷床といいます。
陸上にあった氷床はその重さによって海に向かってゆっくりと滑り落ちていきます。海の上に押しだされたときに割れないで海に浮かんだ部分が棚氷で、棚氷の一部が割れて海に流れ出たものが氷山となります。
棚氷が割れて氷山ができるのは周期的な現象であり、気候変動とは直接関係ないと考えられていますが、気温や海流の温度の上昇など南極付近の環境変化と棚氷や氷河の後退との関係が調査されています。
また、巨大氷山の漂流は周辺海域の環境や航海の安全に影響を与える可能性があり、継続的な監視が必要です。
なお、A-76はロンネ棚氷から分離した時点では世界最大の巨大氷山でしたが、5月26日に一部が割れてA-76A、A-76B、A-76Cの3つに分割されました。ESAによると、この時点で世界最大の氷山は「A-23A」(面積約3880平方キロメートル)とされています。
A-76氷山を観測したレーダー衛星「Sentinel-1(センチネル1)」は、欧州宇宙機関の地球観測プログラム「コペルニクス計画」によって開発された地球観測衛星です。
Sentinel-1は2014年と2016年に打ち上げられた2基の衛星によるシステムで、12日周期で地球を周回しています。2基が同じ軌道上を互いに180度の位置関係で周回するため実質6日周期での観測が可能です。
Sentinel-1の画像は「sentinel-hub」で研究者や専門家だけでなく無償で広く一般に公開されています。氷山が誕生した5月13日前後の画像も閲覧可能です。興味がある方はいちど巨大氷山誕生の観測画像をご覧になってみてはいかがでしょうか。
Image Credit: ESA , Shutterstock
Source: ESA
文/sorae編集部
この記事に関連するニュース
-
表面全体がマグマで覆われた惑星の候補「TOI-6713.01」を発見
sorae.jp / 2024年5月16日 21時3分
-
パキスタンの超小型衛星が月を撮影 中国月探査機「嫦娥6号」から分離に成功
sorae.jp / 2024年5月16日 9時20分
-
中国、月探査機「嫦娥6号」の月周回軌道投入に成功
sorae.jp / 2024年5月11日 16時10分
-
中国、月探査機「嫦娥6号」打ち上げ 月の裏側から世界初のサンプルリターン目指す
sorae.jp / 2024年5月3日 20時27分
-
絶滅の危機!? コウテイペンギンのひなが大量死 南極で記録的な海氷減少 氷解が早すぎ凍死、溺死相次ぐ
よろず~ニュース / 2024年5月1日 21時40分
ランキング
-
1目はバッキバキに…初対面なのに“暴露”しまくる店長に思わず「ソレ、言っても大丈夫?」
日刊SPA! / 2024年5月21日 15時53分
-
2「どっこいしょ」の本当の意味が衝撃的!ただの“掛け声”ではなく“お祈りの言葉”だった
週刊女性PRIME / 2024年5月22日 8時0分
-
3自動車の「パワーウインドー」操作時は要注意 窓に首&指を挟み込まれる事故も 国交省が呼び掛け
オトナンサー / 2024年5月21日 20時50分
-
4スキマバイトに関する実態調査 半数以上が勤務先でトラブルに遭遇
OVO [オーヴォ] / 2024年5月22日 13時30分
-
5「Google Pixel 8a」をお得に買いたい人におすすめの購入方法3選! 実質24円で入手する方法も
オールアバウト / 2024年5月21日 20時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください