ハッブル宇宙望遠鏡が撮影、活動銀河核を持つ“こじし座”の渦巻銀河
sorae.jp / 2021年6月14日 23時11分
こちらは「こじし座」(小獅子座)の方向およそ1億1000万光年先にある渦巻銀河「NGC 3254」の一部を捉えた画像です。画像の右下には明るく輝く銀河中心部分のバルジが見えており、その周りを青白い星々の目立つ渦巻腕が取り巻く様子や、渦巻腕に沿うように広がる塵が豊富で暗いダストレーン(ダークレーン)、それにNGC 3254の向こう側に散在する幾つもの銀河が写っています。
欧州宇宙機関(ESA)によると、NGC 3254の中心部分は狭い領域から強い電磁波を放射する活動銀河核であることが知られており、NGC 3254自体はセイファート銀河(セイファート2型)に分類されています。セイファート銀河はすべての銀河のうち約1割を占めると考えられている活動銀河の一種です。
活動銀河の中心では、超大質量ブラックホールに向かってさかんにガスが落下していると考えられています。落下するガスは降着円盤と呼ばれる構造を形成してブラックホールを周回しながら落ちていきますが、このとき重力エネルギーが解放されることで、ガスは様々な波長の電磁波を放射します。ブラックホールそのものは電磁波で直接観測することができませんが、その周辺のガスから放射された可視光線、電波、X線などを観測することで、ブラックホールの性質や活動を間接的に調べることが可能です。
冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」による可視光線(人の目が認識できる光)と赤外線の観測データをもとに作成されていますが、ESAによるとセイファート銀河は可視光線以外の波長で観測すると中心部分が非常に輝いて見えるといい、NGC 3254のことを「ありふれた景色のなかに隠れた魅力的な秘密を持っている」と表現しています。画像はハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚としてESAから2021年6月14日付で公開されています。
関連:渦巻銀河?レンズ状銀河? 分類が難しい「NGC 4680」
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Riess et al.
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏
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