天の川銀河の中心を貫く「棒」の回転速度が減速していることが判明
sorae.jp / 2021年6月21日 21時3分
イギリスのUCLは6月14日、UCLやオックスフォード大学などからなる研究チームが、私達の天の川銀河の中心部分を貫くバー(bar)の回転速度がその形成時から約1/4ほど減速していることを測定することに成功したと発表しました。研究チームでは、この減速をもたらしているものは、ダークマターではないかと考えています。
天の川銀河は渦巻銀河のなかでも棒渦巻銀河に分類されます。これは天の川銀河の中心部分を貫くように棒状の構造が存在するためです。この棒状の構造をバーといいます。
このバーは、数十億個の恒星が集ってできており、他の部分と同じように天の川銀河のなかで回転しています。
ヘラクレスストリーム(the Hercules stream)は、木星におけるトロヤ群小惑星のように、このバーに重力的にとらわれたたくさんの恒星の流れです。バーと同じ周期で天の川銀河のなかを公転しています。
研究チームによれば、もしバーの回転速度が減速しているのならば、それにつれてこのヘラクレスストリームの恒星は銀河の中心部分から周辺部に向かって移ってくるはずだといいます。
そこで、研究チームは、ヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星ガイアのデータを使って、このヘラクレスストリームの恒星を詳しく調べました。
すると、ヘラクレスストリームの恒星に含まれる金属の量から、ヘラクレスストリームの恒星が天の川銀河の中心部分から周辺部に向かって移ってきたことが解りました。天の川銀河の中心部分の恒星には、周辺部の恒星に比べて、より重い元素、金属元素(metals)が約10倍も多く含まれています。
研究チームの推定によれば、バーの回転速度はバーが形成されてから現在までに少なくても24%も減速しているといいます。
研究チームによれば、このようにバーが減速しているのは、ダークマターがカウンターウエート(counterweight)のように働くからではないかといいます。
研究チームでは、今回の研究成果は、新しいタイプの測定結果を提供することで、ダークマターの本質に関する新しいタイプの洞察をもたらすものであると考えています。
Image Credit: Wikimedia Commons.Pablo Carlos Budassi.
Source: UCL/論文
文/飯銅重幸
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