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孤独に浮かぶ銀河の姿、ハッブルが撮影した“うお座”のボイド銀河

sorae.jp / 2021年6月23日 22時11分

渦巻銀河「MCG+01-02-015」(Credit: ESA/Hubble & NASA and N. Gorin (STScI), Acknowledgement: Judy Schmidt)

【▲ 渦巻銀河「MCG+01-02-015」(Credit: ESA/Hubble & NASA and N. Gorin (STScI), Acknowledgement: Judy Schmidt)】

こちらは「うお座」の方向およそ3億3000万光年先にある銀河「MCG+01-02-015」です。ぼんやりと光る様子は遠目には楕円銀河を思わせますが、中心部分を封じ込めるようにきつく巻き付いた渦巻腕は渦巻銀河の特徴であり、画像からは塵が豊富な暗いダストレーン(ダークレーン)が渦巻腕に沿うように分布している様子もわかります。

ここにはMCG+01-02-015だけでなく、天の川銀河に属する3つの星(十字に輝くスパイク状の光をともなう)や、遠くの宇宙に存在する銀河が無数に写っています。どの銀河にも何かしらの個性があるという点を除けば、これまでsoraeが紹介してきた幾つもの銀河と比べて大きな違いはない画像のようにも思えますが、欧州宇宙機関(ESA)によるとMCG+01-02-015は孤独な銀河なのだといいます。

銀河は宇宙に均等には分布しておらず、銀河の集まりである銀河団が形作ったフィラメント状の構造に偏って分布しています。フィラメント状構造は広大な宇宙に網のように絡み合いながら連なっていて、網の目にあたる部分には物質が希薄なボイドと呼ばれる泡状の空間が直径1億光年以上に渡って広がっています。フィラメント状構造とボイドが形作る大きな構造は、宇宙の大規模構造と呼ばれています。

ESAによると、MCG+01-02-015は多くの銀河が集中するフィラメント状構造ではなく、銀河がまれにしか存在しないボイドに孤立して存在しているといいます。このような銀河は「ボイド銀河(void galaxy)」と呼ばれています。もしも天の川銀河が別の銀河から遠く離れたボイド銀河だったならば、人類は1960年代になるまで他の銀河の存在を知らなかったかもしれないとESAは解説しています。

現在の宇宙における大規模構造のシミュレーション(一辺の幅は約3億光年)。青色は暗黒物質、オレンジ色はガスの分布を示す(Credit: Illustris Collaboration)

【▲ 現在の宇宙における大規模構造のシミュレーション(一辺の幅は約3億光年)。青色は暗黒物質、オレンジ色はガスの分布を示す(Credit: Illustris Collaboration)】

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」による観測データをもとに作成され、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚「The loneliest of galaxies」としてESAから2015年11月9日付で公開されています。

 

関連:腕を開いた南天“がか座”の渦巻銀河、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影

Image Credit: ESA/Hubble & NASA and N. Gorin (STScI), Acknowledgement: Judy Schmidt
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏

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