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IST「ねじのロケット」打ち上げ実施、2019年以来2度目の宇宙空間到達に成功!

sorae.jp / 2021年7月3日 22時28分

【▲ エンジンが点火され離床する「ねじのロケット」(MOMO7号機)。ISTによる打ち上げのライブ配信より(Credit: インターステラテクノロジズ)】

インターステラテクノロジズ(IST)は2021年7月3日、北海道大樹町の北海道スペースポートから観測ロケット「ねじのロケット」(MOMO7号機)の打ち上げを実施しました。ISTによると今回の最高高度は約100km(暫定値)で、2019年に打ち上げられた「MOMO3号機」以来となる宇宙空間到達に成功しています。

■全面改良した「MOMO v1」による宇宙空間到達に成功

当初「ねじのロケット」の打ち上げ日時は7月3日11時ちょうどが予定されていましたが、上空にある氷結層が打ち上げ基準を満たさなかったため、次の打ち上げ可能時間帯である16:05~17:50に変更されていました。

ISTによると、17時45分に打ち上げられたねじのロケットは4分後の17時49分に最高高度の約100kmへ到達し、機体は17時55分に射点の南東沖合73kmの海上に着水しました。今回の打ち上げでは機体に取り付けられたカメラからの映像配信も初めて行われ、上昇するねじのロケットから見下ろした遠ざかる地表や、最高高度付近からの丸い水平線の眺めがリアルタイムで配信されました。

ISTではMOMOの目標到達高度を100kmとしており、国際的な定義でも高度100km以上(米空軍は高度80km以上)が宇宙空間とされています。過去に飛行したMOMOで目標の高度100kmに到達したのは2019年5月4日に打ち上げられた「MOMO3号機」(最高高度約113km)のみでしたが、今回は2年2か月ぶりに2度目の宇宙空間到達に成功したことになります。

「ねじのロケット」搭載のカメラから配信された上昇中の様子。ISTによる打ち上げのライブ配信より(Credit: インターステラテクノロジズ)

【▲「ねじのロケット」搭載のカメラから配信された上昇中の様子。ISTによる打ち上げのライブ配信より(Credit: インターステラテクノロジズ)】

なお、ロケットの名称「ねじのロケット」はネーミングライツ(命名権)を取得したサンコーインダストリー株式会社の命名によるもので、フェアリングのデザインには数多くの締結部品(ねじ、ボルト、ナットなど)を取り扱う同社の個性が表現されています。MOMOでは1機につき約2500本のねじが使われており、その半分以上がサンコーインダストリーのねじとされています。

また、ねじのロケットにはペイロード(搭載物)として高知工科大学が開発したインフラサウンド(超低周波音)計測器が搭載されました。この計測器は、津波、雷、噴火、台風といった災害につながる自然現象の遠隔観測技術向上を目指したデータの取得を目的としています。同大学のインフラサウンド計測器は2018年6月の「MOMO2号機」から続けて搭載されており、今回が5回目です。

このほかにもねじのロケットでは花キューピット株式会社のバラ、株式会社サザコーヒーの高級コーヒー「パナマ・ゲイシャコーヒー」をペイロードとして搭載。燃料には平和酒造株式会社の日本酒「紀土 純米大吟醸 宙へ!!」が添加されました。

エンジン燃焼終了後の「ねじのロケット」から配信された映像。水平線と太陽が写っている。ISTによる打ち上げのライブ配信より(Credit: インターステラテクノロジズ)

【▲ エンジン燃焼終了後の「ねじのロケット」から配信された映像。水平線と太陽が写っている。ISTによる打ち上げのライブ配信より(Credit: インターステラテクノロジズ)】

ねじのロケットはもともと2020年7月に打ち上げられる予定でしたが、エンジンに組み込まれている点火器の不具合が検知されたため、2回に渡りエンジン点火直前に自動停止(アボート)されていました。昨年はMOMOのエンジン周りで不具合が相次いでおり、2020年6月に打ち上げられた「えんとつ町のプペル MOMO5号機」は上昇中にエンジンノズルが破損したことで機体の姿勢が乱れ、安全確保のためにエンジンの緊急停止措置が行われています。

これらの不具合を受けて、ISTは信頼性向上と能力増強を目的としたMOMOの全面改良に着手。エンジンシステム全体の改善、ノズルの材質変更、アビオニクス(航空電子機器)の構成変更、地上側設備の高信頼化といった全体のメジャーアップデートを施した新型の機体は、従来型の「MOMO v0」に対して「MOMO v1」と呼ばれています。また、ISTでは高度500kmの地球周回軌道に超小型人工衛星を投入可能なロケット「ZERO」の開発を進めており、MOMO v1はZEROの開発を見据えた技術実証の役割も担っています。

打ち上げ後の記者会見ではISTファウンダーの堀江貴文氏が、天候以外の理由で遅れることなく初日のうちに実施できた今回の打ち上げについて、設計・製造から運用に至るチームとしての確固たる体制が確立できたことの現れだとコメント。今回の打ち上げ成功は全面改良されたMOMO v1による宇宙空間への再到達というだけでなく、ZEROによる超小型人工衛星打ち上げを目指すISTにとって大きな前進を意味するものと言えそうです。

打ち上げに先立ち6月1日に公開された改良後の「ねじのロケット」(手前)(Credit: インターステラテクノロジズ)

【▲ 打ち上げに先立ち6月1日に公開された改良後の「ねじのロケット」(手前)(Credit: インターステラテクノロジズ)】

なお、ISTではTENGAとの共同プロジェクトである「TENGAロケット」(MOMO6号機)の打ち上げを2021年夏に予定しています。TENGAロケットでは宇宙空間でのペイロード放出と海上での回収が試みられる予定で、成功すれば国内民間企業としては初となります。TENGAロケットもねじのロケットに続く宇宙空間到達が期待されます。

 

関連:IST「ねじのロケット」改良後の機体を公開!観測ロケット「MOMO」初の全面改良

Image Credit: インターステラテクノロジズ
Source: インターステラテクノロジズ
文/松村武宏

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