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地球質量の「自由浮遊惑星」4個発見 重力マイクロレンズ法の威力

sorae.jp / 2021年7月17日 17時0分

自由浮遊惑星の想像図(Credit: A. Stelter / Wikimedia Commons)

【▲ 自由浮遊惑星の想像図(Credit: A. Stelter / Wikimedia Commons)】

わたしたちは学校などで天文現象を学んだとき、太陽のような恒星の周りを、一定の軌道を持って周回している天体を惑星と習ってきました。

実際、天文学においても、ホストとなる親星に縛られず、宇宙空間を単独で浮遊している惑星(惑星程度の質量を持った天体)は存在しないと考えられていました。しかし、近年、観測技術の進歩により、そのような惑星、すなわち「自由浮遊惑星」(free-floating planet:FFP)の存在が明らかになってきました。

関連:重力マイクロレンズ現象を利用して新しい自由浮遊惑星の候補を発見

この度、マンチェスター大学のIain McDonald博士が率いる研究によると、地球と同程度の質量を持つ4つの自由浮遊惑星が新たに発見されました。ケプラー衛星のK2ミッション(主要ミッション終了後に移行された新たなミッション)によって2016年に取得されたアーカイブデータの分析結果によるものです。この研究結果は2021年7月6日付けで王立天文学会月報に掲載されました。

発見に用いられた重力マイクロレンズ法は、アインシュタインの一般相対性理論によって予測されていた重力レンズ現象を利用した方法です。こちらの動画は重力マイクロレンズ効果を説明したアニメーションです。

背景の星に前景の星(惑星状の天体)が重なると、前景の星の重力により背景の星の光が曲げられ、地球上からは丸い像が見え、背景の星の明るさが増します。

天の川銀河に存在する星のうち、100万個に1つ程度は重力マイクロレンズ効果の影響を受けていて、さらにその数パーセントは太陽系外惑星によって引き起こされていると予想されています。

しかし、「このような信号を検出することは非常に困難な作業です」とIain McDonald博士は語っています。「わたしたちの観測では、視力の衰えた高齢の望遠鏡を、星が最も密集した部分に向けました。そこには、明るさの異なる何千もの明るい星と、何千もの小惑星がすでに存在し、わたしたちの視野をかすめています。その不協和音の中から、太陽系外惑星によって引き起こされる僅かで特徴的な明るさを抽出しようとしました」

今後は、そのような僅かな信号を見つけるように設計された他のミッションに引き継がれます。

アンシュタインは重力レンズ現象を予測していましたが、実際に観測することは不可能だと考えていました。しかし、現在では、ブラックホールやダークマターの研究、自由浮遊惑星を含む太陽系外惑星の発見は、重力マイクロレンズ法なしには成し得なかった成果と言えるでしょう。

太陽系内の惑星の動きは基本的にニュートン力学(ケプラーの法則)で説明できますが、視野を太陽系外へと広げていくとニュートン力学だけでは手に負えなくなってきます。

重力レンズ現象は観測不可能と考えたアインシュタインの予言自体はずれましたが、アインシュタインによる一般相対性理論の発見が現代天文学の多くの成果を支えていると言っても決して過言ではないでしょう。

 

Video Credit: 王立天文学会(Royal Astronomical Society)
Image Credit: A. Stelter / Wikimedia Commons
Source: 王立天文学会(Royal Astronomical Society) / 論文、名古屋大学
文/吉田哲郎

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