約8割を占める水星の巨大なコア、その形成の謎について新説が登場
sorae.jp / 2021年7月22日 21時10分
東北大学は7月5日、William F. McDonough 教授や吉崎 昂さんなどからなる研究チームが「全体の7割~8割を占める水星の巨大なコアがどのようにして形成されたのか」について新説を提唱したと発表しました。
水星の直径は4879kmほどありますが、その7割~8割を鉄などからなる金属製のコアが占めています。ちなみに、地球のコアは全体の5割ほどを占めているにすぎません。
では、なぜ水星のコアはこのように巨大なのでしょうか?
この点、これまで巨大な天体の衝突によって水星の表面を覆っていた岩石層が剥ぎ取られてしまった結果ではないかと考えられてきました。
ところが、NASAの水星探査機メッセンジャーの観測から、水星の表面は蒸発しやすいカリウム、塩素などの元素を含む岩石でできていることが解りました。もし、巨大な天体の衝突によって水星の表面を覆っていた岩石層が剥ぎ取られてしまったのならば、このような蒸発しやすい元素はその衝突によって蒸発し失われてしまったはずです。
そこで、研究チームが注目したのが、原始太陽系円盤内に存在した原始太陽が生み出した強い磁場です。
原始太陽に近づけば近づくほどこの磁場は強くなるわけですが、磁場が強くなればなるほど選択的に金属が天体に取り込まれやすくなることが解っています。
研究チームによれば、この考え方に基づくモデルによって、巨大な天体の衝突なしに水星の巨大なコアを説明できるだけではなく、地球型惑星のコアから小惑星の密度のバリエーションまで包括的に説明できるといいます。ちなみに天体に含まれている金属の比率が高くなればなるほど、天体の密度も高くなります。
地球では、金属製のコアは溶解することによって地磁気を生み出し、私達生命を有害な宇宙線から守ってくれています。研究チームでは、今回の研究成果は、天体おける生命の生存可能性を考えていくうえでも、重要なヒントを与えるものになるだろうと考えています。
Image Credit: NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Carnegie Institution of Washington
Source: 東北大学プレスリリース/論文
文/飯銅重幸
この記事に関連するニュース
-
北大など、リュウグウ試料の表面に初期太陽系の新たな磁気記録媒体を発見
マイナビニュース / 2024年5月2日 17時18分
-
冥王星の地表にある「巨大なハート」...科学者を悩ます存在の謎がついに解明か 「地下に海」の可能性は低下
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月21日 13時0分
-
“黒い”スーパーアース「LHS 3844 b」が同期回転している観測的証拠を発見
sorae.jp / 2024年4月13日 20時47分
-
星は誕生時にくしゃみをする? 九大などが、「磁束問題」解決のヒントを観測
マイナビニュース / 2024年4月12日 16時58分
-
最低でも20km 木星の衛星「エウロパ」表面の氷の厚さを衝突地形から推定
sorae.jp / 2024年4月6日 21時10分
ランキング
-
1ウインナーは切り込みNG?「ずっと間違ってた…」食品メーカーが“おいしさ損ねる三箇条”を伝授
ORICON NEWS / 2024年5月4日 17時30分
-
2コンビニは「前向き駐車」すべき? なぜ「バック駐車」は推奨されない? “納得の理由”と守らなかった際の「悪影響」とは
くるまのニュース / 2024年5月2日 17時10分
-
3元ラブホ従業員が語る裏話。モーニングの目玉焼きを「焼かずに提供する」理由は…
日刊SPA! / 2024年5月5日 8時54分
-
4なぜ「立体駐車場」ではタイヤが“キュルキュル”鳴る?「特殊な床」が原因なの!? 異音には「部品の劣化」の可能性も
くるまのニュース / 2024年5月4日 14時10分
-
5知られざる静岡が誇る蕎麦のチェーン店「そば処 鐘庵」で味わう絶品の桜エビの天ぷら蕎麦とは?
GOTRIP! / 2024年5月5日 6時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください