巨大なブラックホールを秘めた輝き。ハッブルが撮影した“しし座”の楕円銀河
sorae.jp / 2021年7月16日 21時30分
こちらは「しし座」の方向およそ3600万光年先にある銀河「M105(Messier 105)」の姿です。銀河といえば天の川銀河の想像図やアンドロメダ銀河(M31)のような渦巻銀河/棒渦巻銀河の姿を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、楕円銀河に分類されているM105はぼんやりと輝いていて、渦巻腕のようなはっきりとした構造は見当たりません。
渦巻銀河と比べて目立たない印象も受けるM105ですが、中心の狭い領域から強い電磁波が放射される活動銀河核を持つ銀河として知られていて、そのエネルギー源は周囲から活発に物質を取り込む超大質量ブラックホールだと考えられています。M105の中心付近にある星々の動きをもとに、ブラックホールの質量は太陽の約2億倍と推定されています。
また、古い星で構成される楕円銀河では新しい星を生み出す星形成活動がほとんど起きないと考えられているものの、M105には若い星々や星団が存在することが「ハッブル」宇宙望遠鏡の観測によって明らかになっています。欧州宇宙機関(ESA)によると、M105では太陽と同程度の星が1万年ごとに誕生するようなペースで星形成が進んでいるとみられています。
冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」による可視光線および近赤外線の観測データをもとに作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚「The heart of the Lion」として、ESAから2019年1月7日付で公開されています。
なお、ハッブル宇宙望遠鏡はハードウェアの問題が生じたために6月13日から科学観測を中断しています。原因は電力供給を安定化させるパワーコントロールユニットにあるとみられており、7月15日からシステムをバックアップに切り替える作業が運用チームによって進められています。
打ち上げから今年で31年、スペースシャトルによる最後のサービスミッションから12年に渡り活躍し続けてきたハッブル宇宙望遠鏡は、これまでにも度々トラブルを乗り越えてきました。今回も作業が無事成功し、科学観測が再開されることを願うばかりです。
関連:銀河の宝石箱に隠れたリング。ケンタウルス座の楕円銀河とアインシュタインリング
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, C. Sarazin et al.
Source: ESA/Hubble / NASA
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影 2021年と2023年に超新星が見つかった渦巻銀河「NGC 4414」
sorae.jp / 2024年11月2日 18時41分
-
じーっと見つめる目のような相互作用銀河 ハロウィンにあわせNASAやESAが紹介
sorae.jp / 2024年11月1日 16時58分
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“おとめ座”の渦巻銀河「IC 3225」
sorae.jp / 2024年10月22日 21時25分
-
天の川銀河へ近付くように移動している渦巻銀河「M90」 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影
sorae.jp / 2024年10月16日 21時10分
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影 “うしかい座”の壮大な渦巻銀河「NGC 5248」
sorae.jp / 2024年10月10日 21時37分
ランキング
-
1【おうちで餃子を楽しもう】老舗の「幸楽苑」!お得にテイクアウトする方法とは
イエモネ / 2024年11月4日 20時0分
-
2「文字が小さい。なんとかしろ!」携帯ショップの店員を苦しめる“横暴な中高年客”。退職を決意した出来事は…
日刊SPA! / 2024年11月5日 8時51分
-
3「評価されるのは上司のお気に入り」会社の人事評価に7割が不満→2割が転職、転職検討組は半数
まいどなニュース / 2024年11月4日 19時30分
-
4一人暮らしの高齢者が増加!これだけは備えたい3つの費用とは
オールアバウト / 2024年11月4日 18時30分
-
5《食べ痩せダイエット》12kgの減量に成功した看護師の旬食材たっぷりレシピ
週刊女性PRIME / 2024年11月5日 8時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください