まるで花火!近隣銀河の星形成領域の鮮明で美しい地図帳
sorae.jp / 2021年7月26日 20時42分
ヨーロッパ南天天文台(ESO)は7月16日、PHANGS(Physics at High Angular Resolution in Nearby GalaxieS)プロジェクトの研究チームが、ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)のデータを基に、アルマ望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡などのデータを組み合わせて、私達の天の川銀河の近隣にあるたくさんの銀河の星形成領域について、かつてなく鮮明な、いわば「星の新生児室の地図帳(atlas of stellar nurseries)」を作成し公開したと発表しました。
星の形成についてはまだよく解っていないことがたくさんあります。例えば、何がきっかけで星の形成が始まるのか、星は銀河の特定の領域で形成されるのか、もしそうならそれはどうしてか、新しく形成された星はその進化の過程でその後の星の形成にどのような影響を与えるのか、など謎はつきません。
このような星の形成に関わる謎を解明していくためには星が形成される現場を詳しく観測する必要があります。
まず、研究チームはヨーロッパ南天天文台が誇る超大型望遠鏡の超広視野面分光装置(MUSE)を使って、天の川銀河の近隣にあるたくさんの銀河を観測しました。この観測では新しく形成された星やその星によって加熱された星間ガスが観測されました。星が形成されている現場ですね。
続いて、研究チームはアルマ望遠鏡によって観測された冷たい星間ガスの分布に関するデータをこの超大型望遠鏡によって得られたデータに加味しました。冷たい星間ガスは星が形成されるための材料になると考えられています。
そして、さらに、研究チームは、これらのデータにハッブル宇宙望遠鏡の観測データを加味し、可視光、近赤外線、電波などさまざまな波長域での観測結果を組み合わせました。こうして、研究チームは天の川銀河の近隣にあるたくさんの銀河の星の形成領域、いわば星の新生児室のかつてなく鮮明な地図帳を作成することに成功しました。
超大型望遠鏡による観測を率いたエリック・エムセレムさんは「私達は、星を生み出す星間ガスを、直接、観測し、若い星自体を見、それらの若い星の進化を目撃することができます」とコメントしています。
研究チームでは今回の研究成果はこれからの星の形成に関わる観測のための礎になるだろうとしています。
Image Credit: ESO
Source: ヨーロッパ南天天文台
文/飯銅重幸
この記事に関連するニュース
-
恒星「WOH G64」のクローズアップ撮影に成功 天の川銀河の外にある恒星では初の成果
sorae.jp / 2024年11月28日 21時10分
-
緻密で柔らかそうな印象の渦巻銀河「NGC 2090」 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影
sorae.jp / 2024年11月25日 21時46分
-
限界の40倍以上で成長? 初期宇宙の巨大なブラックホールをウェッブ宇宙望遠鏡が観測
sorae.jp / 2024年11月8日 21時53分
-
一等星「ベガ」のデブリ円盤は驚くほど滑らか。ウェッブとハッブルが観測
sorae.jp / 2024年11月7日 20時59分
-
幻の銀河とも呼ばれる渦巻銀河「M74」 ウェッブ宇宙望遠鏡が再び撮影
sorae.jp / 2024年11月5日 21時23分
ランキング
-
1「一人暮らしの老後」を充実させるコツ3つ
オールアバウト / 2024年11月28日 21時40分
-
2ホコリが積もると火事に…コンセント周辺の掃除をサボると危険! 確認すべき5つのポイント
オトナンサー / 2024年11月28日 20時10分
-
3日本株に“トランプ・ショック”直撃か…「関税引き上げ」に国内経済界は戦々恐々
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月28日 16時3分
-
4『推しの子』終盤展開の問題 実写やアニメで「改変」を望む声が出ているのは何故なのか
マグミクス / 2024年11月28日 20時55分
-
5急な「めまい」発作の"引き金"となる6つの要因 とくに急激な「気圧の変化」には注意が必要
東洋経済オンライン / 2024年11月28日 20時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください