「ソーラー・オービター」「ベピ・コロンボ」相次いで金星スイングバイを実施
sorae.jp / 2021年8月15日 12時22分
2021年8月9日から10日にかけて、欧州宇宙機関(ESA)とアメリカ航空宇宙局(NASA)の太陽探査機「ソーラー・オービター」、およびESAと宇宙航空研究開発機構(JAXA)の水星探査ミッション「ベピ・コロンボ」の探査機が、相次いで軌道を変更するための金星スイングバイを実施しました。
まずは日本時間8月9日、ソーラー・オービターが金星の表面から7995km以内を通過しました。ソーラー・オービターは2020年12月に1回目の金星スイングバイを実施しており、今回は2回目の金星スイングバイとなります。
こちらのアニメーション画像にはソーラー・オービターに搭載されている光学観測装置「SoloHI(Solar Orbiter Heliospheric Imager)」を使って最接近前に撮影された画像が使われており、昼側から反射された太陽光によって三日月形にまぶしく輝く金星が徐々に近付いてくる様子が捉えられています。
続く8月10日にはベピ・コロンボの探査機が金星スイングバイを実施しました。最接近時刻は日本時間8月10日22時51分で、探査機は金星表面から552kmまで接近。ベピ・コロンボ探査機は2020年10月にも1回目の金星スイングバイを実施しており、先のソーラー・オービターと同様に今回が2回目の金星スイングバイとなります。2020年10月の第1回金星スイングバイにおける最接近時の高度は1万721.6kmとされていますから、今回はその20分の1程度まで金星に近付いたことになります。
ベピ・コロンボはJAXAの水星磁気圏探査機「みお(MMO:Mercury Magnetospheric Orbiter)」とESAの水星表面探査機「MPO(Mercury Planetary Orbiter)」の2機の周回探査機によるミッションで、両探査機は水星までの飛行を担当する電気推進モジュール「MTM(Mercury Transfer Module)」とともに1つの機体を構成しています。
こちらの画像は電気推進モジュール(MTM)に搭載されているモニタリングカメラの一つを使って最接近の6分後に撮影された金星の姿で、この時の表面からの距離は1573kmとされています。
またESAでは、ベピ・コロンボ探査機の金星最接近直前から最接近後にかけて撮影された画像をもとに作成した次の動画も公開しています。動画のもとになった画像はすべて、電気推進モジュール(MTM)に搭載されている3台のモニタリングカメラを使って撮影されました。
▲ベピ・コロンボの第2回金星スイングバイ実施時に撮影された金星の様子▲
(Credit: Video: ESA/BepiColombo/MTM, Music: Anna Phoebe, additional soundscapes by Mark McCaughrean)
なお、8月9日に金星スイングバイを実施したソーラー・オービターは、2021年11月27日に地球スイングバイ(最接近時の高度は460km)を行います。その後は金星スイングバイを繰り返すことで徐々に軌道を傾けていき、太陽の極域の観測を行う予定です。
また、8月10日に金星スイングバイを実施したベピ・コロンボ探査機は探査対象である水星に向かい、2021年10月1日から2日にかけて第1回水星スイングバイ(最接近時の高度は200km)を行います。水星スイングバイは合計6回の計画で、2025年にはいよいよ水星の周回軌道に探査機が投入される予定です。
Source: NASA / ESA (1), (2)
文/松村武宏
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