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古い星でできた遺物のような銀河、ハッブルが撮影した“ペルセウス座”のレンズ状銀河

sorae.jp / 2021年8月17日 23時0分

レンズ状銀河「NGC 1277」(中央)(Credit: NASA, ESA, and M. Beasley (Instituto de Astrofísica de Canarias))

【▲ レンズ状銀河「NGC 1277」(中央)(Credit: NASA, ESA, and M. Beasley (Instituto de Astrofísica de Canarias))】

「ペルセウス座」の方向で輝く幾つもの銀河を捉えたこちらの画像、中央に写っているのはおよそ2億2000万光年先にあるレンズ状銀河「NGC 1277」です。レンズ状銀河は渦巻銀河と楕円銀河の中間にあたる形態の銀河です。渦巻銀河と同じように扁平な姿をしているものの、渦巻腕や棒状構造のような目立った構造は見当たりません。

NGC 1277は「ペルセウス座銀河団」を構成する1000以上の銀河のひとつです。NGC 1277には天の川銀河の2倍の星々があるものの、そのサイズは直径約10万光年とされる天の川銀河の4分の1しかないといいます。

欧州宇宙機関(ESA)によると、NGC 1277は初期宇宙の遺物(relic of the early Universe)のようだといいます。NGC 1277を構成しているのは、どれも約120億年前に形成されたとみられる古い星々だからです。誕生した頃のNGC 1277は現在の天の川銀河と比べて1000倍ものペースで星を形成していたとみられていますが、同時期に誕生した星々が老いるにつれて、NGC 1277では星形成が停止してしまいました。

「ハッブル」宇宙望遠鏡による観測の結果、NGC 1277の周囲に幾つも存在する球状星団(数十万個の恒星が密集した天体)のほとんども、古い星が集まってできた赤みがかった球状星団(金属量が多い)であることが判明しています。いっぽう、他の巨大な銀河には赤みがかった球状星団と、小さな銀河を取り込んだ際に獲得したとみられる青みがかった球状星団(金属量が少ない)の両方が存在する傾向にあるといいます(※ここでいう「金属」とは、水素やヘリウムよりも重い元素のこと)。

NGC 1277はペルセウス座銀河団の中心付近にあるものの、時速およそ320万kmという高速で銀河団の内部を移動しているため、他の銀河と相互作用したり星の材料となるガスを取り込んだりできなかったのではないかとみられています。また、星はガスと塵の冷たい雲(分子雲)のなかで誕生しますが、銀河団の中心付近における銀河団ガスの温度は非常に高いため、星形成は起こりません。さらに大きく成長する機会がなかったNGC 1277は、本質的に100億年前から変化しておらず、初期宇宙の銀河を学べる貴重な存在だと考えられています。

冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」による可視光線と近赤外線の観測データから作成されたもので、ハッブルの今週の一枚「A red, metal-rich relic」(赤く、金属が豊富な遺物)として、ESAから2018年3月19日付で公開されています。

 

関連:ハッブル宇宙望遠鏡が撮影、ペルセウス座銀河団の一角で輝く渦巻銀河とレンズ状銀河

Image Credit: NASA, ESA, and M. Beasley (Instituto de Astrofísica de Canarias)
Source: ESA/Hubble / STScI
文/松村武宏

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