太陽系の最果て「オールトの雲」では恒星間天体の方が多い可能性が判明
sorae.jp / 2021年8月27日 22時30分
ハーバード・スミソニアン天体物理学センターは8月22日、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの天文学者アミール・シラジ氏やアビ・ローブ氏などが率いる研究チームが、太陽系の最果てにあるオールトの雲(Oort cloud)においては、元々太陽系に属する天体よりも、恒星間天体の数の方が多い可能性があることを突き止めたと発表しました。
太陽系の最も外側にあるとされるオールトの雲は、太陽から1万から10万AU(1AUは太陽から地球までの平均距離)のところにあり、1兆個ほどの氷の微惑星が球殻状に太陽系を取り囲んでいると考えられています。長周期彗星(公転周期が200年以上の彗星)はここからやってくると考えられているために「彗星の巣」とも呼ばれています。
研究チームが、ボリソフ彗星の検知から導き出された恒星間天体が太陽系を訪れる頻度に関する結論に基づいて計算したところ、このオールトの雲においては、元々太陽系に属する天体よりも、恒星間天体(星間空間に存在する彗星、小惑星、岩石惑星などの天体)の数の方が多い可能性があることが解りました。
太陽系の内側では、太陽の重力がより強いために、恒星間天体は稀ですが、太陽系の外側では太陽の重力が弱まるために、より多くの恒星間天体がそのまま残りえます。
シラジ氏は「私達は十分により多くの太陽系外からの訪問者が存在しうることを発見しつつあります」とコメントしています。
なお、ボリソフ彗星は、オウムアムアに次いで発見された2番目の恒星間天体ですが、恒星間彗星としては、人類史上初めて確認された恒星間彗星になります。
では、なぜ恒星間天体はこれまでほとんど見つかっていないのでしょうか?
研究チームによれば、それは観測技術の限界によるものだといいます。
オールトの雲は地球からとても遠くにあり、また、オールトの雲の天体は恒星のように自ら光を放っていません。そのため現在の技術では観測することがとても難しいのです。
研究チームでは、2022年中に稼働が予定されている口径8.4mの可視光赤外線望遠鏡を持つNSFヴェラ・C・ルービン天文台などの次世代の観測技術によって、研究チームの研究結果が観測的に実証されることを期待しています。
Image Credit: NASA, ESA and D. Jewitt (UCLA), Shutterstock
Source: ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのプレスリリース/論文
文/飯銅重幸
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