今年の8月26日は惑星探査機「ボイジャー2号」の土星フライバイから40年
sorae.jp / 2021年8月26日 21時30分
こちらはアメリカ航空宇宙局(NASA)の惑星探査機「ボイジャー2号」によって撮影された土星の画像です。土星の左側には衛星のテティス、ディオネ、レアの姿も小さく写っています。日本時間1981年8月26日、ボイジャー2号は土星の中心からおよそ16万kmを通過するフライバイを実施しました。今年2021年の8月26日は、ボイジャー2号の土星フライバイから40年の節目にあたります。
1977年8月20日に打ち上げられたボイジャー2号は、2年後の1979年7月に木星のフライバイ探査を行いつつ機体を加速させ、さらに2年後の1981年8月に土星のフライバイ探査を実施しました。ボイジャー2号は木星で約1万8000枚、土星で約1万6000枚の画像を撮影しており、冒頭の画像もそのうちの1枚となります。
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木星と土星のフライバイ探査は、1972年・73年に打ち上げられた「パイオニア10号」「パイオニア11号」やボイジャー2号と同時期に打ち上げられた姉妹機「ボイジャー1号」でも行われており、当初はボイジャー2号のミッションも土星の探査で終了する予定でした。しかし、ボイジャー2号は土星のフライバイ後に天王星と海王星も訪問できるタイミングで打ち上げられており、NASAはさらに2つの惑星を探査するための追加予算を承認します。
土星のフライバイ探査から5年後の1986年1月、ボイジャー2号は初の天王星フライバイを実施。その3年後の1989年8月には初の海王星フライバイも行われました。40年前の土星フライバイは、ボイジャー2号による史上初の天王星・海王星フライバイに向けた軌道変更でもあったのです。
木星や土星よりも遠い天王星と海王星では太陽の光が弱く、海王星には地球の1000分の1しか光が届きません。そのうえ遠くなった地球との通信もより厳しくなることから観測に制約が生じるものの、ボイジャー2号は天王星とその衛星の画像約8000枚の撮影に成功しました。その後は探査機のソフトウェアの改良や画像圧縮技術の利用により、海王星フライバイでは約1万枚の画像が撮影されています。
ちなみにボイジャー2号が海王星へ最接近したのは日本時間1989年8月25日で、土星への最接近からほぼ8年後のことであり、今年の8月25日で32年となります。
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なお、惑星探査のグランドツアーを終えたボイジャー2号は打ち上げから44年が経った現在も稼働を続けています。2018年11月には太陽圏(太陽風の影響が及ぶ領域、ヘリオスフィア)の端にあたるヘリオポーズを通過して星間空間に到達しており、先にヘリオポーズを通過したボイジャー1号とともに星間空間の貴重なデータを送り続けています。
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そのいっぽうで、電源として搭載されている放射性同位体熱電気転換器(RTG、放射性物質が崩壊するときの熱から電気を得るための装置)の出力は打ち上げ当初と比べて少なくなっており、生きた探査機としての寿命はあと数年とみられています。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Source: NASA
文/松村武宏
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