三つ星のような銀河団が作り出したアインシュタインリング ダークマター解明の手がかり
sorae.jp / 2021年8月29日 21時41分
まるでオリオン座の三つ星のように並ぶ3つの銀河。
これはハッブル宇宙望遠鏡が撮影した「エイベル(Abell)3827」と呼ばれる銀河団の画像です。その右側には、3つの中心を持つ、非常に珍しい曲がった銀河が写っているように見えます。
しかし、詳細に分析すると、これは銀河団よりも遠方にある同じ1つの銀河を撮影した3つの画像であり、さらにもう1つ(合わせて少なくとも4つ)の画像の存在がわかりました。私たちが見ているこの銀河からの光は、手前にある銀河団の複雑な重力の中を何度も通り抜けています。その結果、重力レンズ効果によって歪んだ銀河のように見えているのです。
関連:重力レンズ効果によって5つに分かれたクエーサーの像、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影
こちらでは、手前にある銀河団の中の明るい銀河の画像(左側のG1〜5)と遠方にある銀河の画像(右側のA1~4)をそれぞれ強調して表示しています。
このような重力レンズ効果によって、右側のようなリング状になる「アインシュタインリング」は他の星系でも観測されていますが、特にエイベル3827はダークマター(暗黒物質)の存在や質量の分布を知るために重要な手がかりを与えてくれるとのことです。
わたしたちが見ているエイベル3827の光は約13億年前のものです。恐竜が地球上を歩き回っていた頃よりもさらにずっと前のことです。銀河団の中心にある銀河は、今ではきっと、その中心付近にある巨大な1つの銀河に合体していることでしょう。
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Massey、Chen etal。2020
Source: APOD、AAS(アメリカ天文学会)
文/吉田哲郎
この記事に関連するニュース
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“うしかい座”の渦巻銀河「UGC 9684」
sorae.jp / 2024年5月7日 21時27分
-
ほのかに渦巻く“おとめ座”の矮小銀河「IC 776」 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影
sorae.jp / 2024年4月30日 21時33分
-
ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ34周年記念画像は惑星状星雲「M76」
sorae.jp / 2024年4月26日 20時56分
-
この破線の正体は? ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した銀河の画像に出現
sorae.jp / 2024年4月21日 10時58分
-
南天“ふうちょう座”の渦巻銀河「IC 4633」 ハッブル宇宙望遠鏡などが撮影
sorae.jp / 2024年4月12日 21時7分
ランキング
-
1「スナップえんどう」の筋取りが、お家にあるアレを使うだけで簡単キレイに!驚きのアイデアに「目からウロコ」「見ていて気持ち良いー!」
まいどなニュース / 2024年5月6日 15時45分
-
2親を扶養に入れるメリット・デメリットを確認してみよう
マイナビニュース / 2024年5月7日 11時2分
-
3クルマのホイール「アルミ」と「スチール」どっちがいい? 足元を支える“重要パーツ”のメリット・デメリットとは?
くるまのニュース / 2024年5月7日 17時40分
-
4「サプリメント同士」の“のみ合わせ”リスク もっとも注意すべきは「同じような効果のものを何種類ものむ」ケース
NEWSポストセブン / 2024年5月7日 16時15分
-
5死者をデジタルで復活させる「故人AI」が海外で急速に普及 「悲しみに暮れる人の社会復帰を妨げる」という懸念も
NEWSポストセブン / 2024年5月7日 7時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください