天の川銀河中心方向で輝く18万の星々、ダークエネルギーカメラが撮影
sorae.jp / 2021年9月13日 21時14分
こちらは「いて座」にある天の川銀河の中心方向を捉えた画像です。言い換えれば、夜空にかかる天の川の一部を拡大したもの。視野全体をびっしりと埋め尽くす数え切れないほどの星々に圧倒されます。天の川銀河の中心部分には数多くの星が集まったバルジ(銀河バルジ)と呼ばれる膨らみがあり、その周りを渦巻腕が取り巻いています。ここにはバルジのごく一部(0.5×0.25度の範囲)しか捉えられていませんが、それでも画像に含まれる星の数は18万を上回るといいます。
次の画像はさらに広い範囲(約4×2度、長辺の幅は満月約8個分)を示したもので、冒頭の画像は右下の一部分に相当します。バルジの星々と地球の間にある星間物質(ガスや塵)によって青い光が散乱されることで、星からの光は赤みがかって見えています。この現象は星間赤化(interstellar reddening)と呼ばれています。
これらの画像は、チリのセロ・トロロ汎米天文台にあるブランコ4m望遠鏡に設置されている「ダークエネルギーカメラ(DECam)」を使ったサーベイ観測プロジェクト「Blanco DECam Bulge Survey」にて撮影されたもので、米国科学財団(NSF)の国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)から2020年10月27日付で公開されています。
NOIRLabによると、このプロジェクトでは天の川銀河の中心方向およそ200平方度(いて座からさそり座にかけての満月約1000個分の範囲)に存在する星々が近紫外線・可視光線・近赤外線の波長で観測されており、中心付近に存在する恒星の大部分が100億年以上前に生じた激しい星形成活動によって一気に形成されたことが明らかになったといいます。
ダークエネルギーカメラは3平方度(満月約14個分の広さ)を一度に撮影できる巨大なデジタルカメラ(画素数約520メガピクセル)のような観測装置で、その名の通りダークエネルギー(暗黒エネルギー)の研究を主な目的として開発されました。ダークエネルギー研究のための観測は2013年から2019年にかけて実施されましたが、その後も運用が続けられています。
関連:ダークエネルギーカメラが撮影した電波銀河「ケンタウルス座A」の姿
Image Credit: CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA/STScI, W. Clarkson (UM-Dearborn), C. Johnson (STScI), and M. Rich (UCLA)
Source: NOIRLab / STScI
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
緻密で柔らかそうな印象の渦巻銀河「NGC 2090」 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影
sorae.jp / 2024年11月25日 21時46分
-
見事に横向き ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“へび座”の渦巻銀河「UGC 10043」
sorae.jp / 2024年11月20日 20時52分
-
限界の40倍以上で成長? 初期宇宙の巨大なブラックホールをウェッブ宇宙望遠鏡が観測
sorae.jp / 2024年11月8日 21時53分
-
幻の銀河とも呼ばれる渦巻銀河「M74」 ウェッブ宇宙望遠鏡が再び撮影
sorae.jp / 2024年11月5日 21時23分
-
じーっと見つめる目のような相互作用銀河 ハロウィンにあわせNASAやESAが紹介
sorae.jp / 2024年11月1日 16時58分
ランキング
-
1日本株に“トランプ・ショック”直撃か…「関税引き上げ」に国内経済界は戦々恐々
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月28日 16時3分
-
2「高齢で廃業」店内に放置された犬19匹、ふん尿にまみれ…荒稼ぎしたブリーダー業の末路に「胸が痛い」
まいどなニュース / 2024年11月28日 7時50分
-
3ホコリが積もると火事に…コンセント周辺の掃除をサボると危険! 確認すべき5つのポイント
オトナンサー / 2024年11月28日 20時10分
-
4「俺、無精子症だから」と避妊してくれない彼。生理が来ないことを告げると“まさかの反応”
女子SPA! / 2024年11月28日 15時47分
-
5年収1,000万円なんてこんなもん…42歳で部長に抜擢の〈大企業エリート〉。質素すぎる毎日に、部下「夢がない」「このままこの会社にいても」と絶望
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月28日 7時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください