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ISSでバナジウムのバイオマイニングに成功 宇宙進出の可能性を広げるバイオマイニングとは?

sorae.jp / 2021年9月16日 16時30分

バイオロック実験の一環として、玄武岩スライドの表面上および内部で成長したバイオフィルム(微生物の集合体)。飛行前の蛍光顕微鏡画像で、色素で染色してあります。岩石の空洞の中にも成長が見られます(Credit: ESA)

【▲ バイオロック実験の一環として、玄武岩スライドの表面上および内部で成長したバイオフィルム(微生物の集合体)。飛行前の蛍光顕微鏡画像で、色素で染色してあります。岩石の空洞の中にも成長が見られます(Credit: ESA)】

NASAが2021年9月1日付けで掲載した記事によると、ISSでバナジウムのバイオマイニング(biomining)に成功したとのことです。

バナジウム(vanadium、原子番号23、元素記号V)は元素の一つですが、建材や工具などに使用される鉄鋼を製造する際、強度を増すために添加される元素として重要です。また、他にも様々な用途に利用されています。

しかし、「バイオマイニング」という言葉にはあまりなじみがないかもしれません。そもそも「マイニング」(mining)とは「採鉱」や「鉱業」を意味しています。人類はこれまで自らの労働力(採掘)によって有用な金属資源を入手してきました。金属資源の抽出を微生物の力を利用することで促進しようする技術がバイオマイニングです。

バイオマイニングは、自然界に存在する金属を、コスト効率が高く、環境に配慮して入手する方法として一般的になってきています。人類が深宇宙への進出を計画している中、バイオマイニングは、他の惑星で使用するために必要な材料を地球から輸送するのではなく、地球以外の居住地で調達する方法を提供できる可能性があります。

微生物を使ったバイオマイニングは、コンパクトであるという利点もあります。これは、地球から輸送船を打ち上げるとき、材料などの輸送スペースが限られている深宇宙探査に便利です。しかし、このプロセスが微小重力で機能するかどうかは不明でした。

バイオロック実験における単一実験ユニットの2つの培養槽の飛行前画像(Credit: ESA)

【▲ バイオロック実験における単一実験ユニットの2つの培養槽の飛行前画像(Credit: ESA)】

2019年、ISSで行われたESAの「バイオロック」(Biorock)調査(実験)では、宇宙空間で微生物によって玄武岩から地球の希土類元素(レアアース)を抽出できることが実証されました。玄武岩は月や火星でよく見られる岩石です。今回、研究チームは、微生物が宇宙空間で元素を「採掘」できるだけでなく、重力が変化した環境下でも優れた能力を発揮する微生物がいることを明らかにしました。

ESAの宇宙飛行士Luca Parmitano氏がバイオロック実験の設置作業を行っている様子(Credit: NASA)

【▲ ESAの宇宙飛行士Luca Parmitano氏がバイオロック実験の設置作業を行っている様子(Credit: NASA)】

地球上の微生物についての知識が深まれば、バイオマイニングに適した微生物が他にも数多く発見されるかもしれません。科学者たちは現在、マイニングの相互作用の背後にあるメカニズムや、これらの微生物がどのように活動しているのかを理解するために、実験室で実験を重ねているということです。

こちらは宇宙でのバイオマイニングについて解説した動画です。バイオロックや月や火星でのバイオマイニングのプロセスについて説明しています。

Video Credit: NASA Johnson
Image Credit: ESA / NASA
Source: NASA / GOV.UK
文/吉田哲郎

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