星間赤化で彩られた”へびつかい座”の球状星団。ハッブルが撮影
sorae.jp / 2021年9月22日 21時27分
球状星団「ESO 520-21」(Credit: ESA/Hubble and NASA, R. Cohen)
こちらは「へびつかい座」の方向およそ1万9000光年先にある球状星団「ESO 520-21」(またはPalomar 6)とその周辺を捉えた画像です。球状星団とは、数十万個ほどの恒星が互いの重力に引き寄せられて密集している天体のこと。視野全体を数え切れないほどの星々が埋め尽くす様子は無数の宝石を敷き並べた宝飾品のようでもあり、自然が生み出した美しさにため息が漏れるばかりです。
画像の星々の色合いはゴールドを思わせるやや赤みがかった色合いに見えますが、これは星間赤化(interstellar reddening)と呼ばれる現象によるもの。ESO 520-21をはじめ、天の川銀河の中心近くにある天体を発した光は地球との間に存在する星間物質(ガスや塵)によって青い光が吸収・散乱されやすいため、実際よりも赤みがかって見えるのです。欧州宇宙機関(ESA)によると、この現象は天の川銀河の中心付近にある球状星団の特性を見定めることを特に困難にしているのだといいます。
ちなみに、へびつかい座は黄道(天球における太陽の見かけの通り道)が通過する13の星座のひとつであり、2世紀にプトレマイオスの著作に登場して以来、現在も88星座のひとつとして用いられ続けています。そのいっぽうで、長い歴史の中では天文学者などによって提案されたものの使われなくなった星座も多く、ESAではその例として「ねこ座(Felis)」「となかい座(Rangifer)」「いんさつしつ座(Officina Typographica)」の名前をあげています。
冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」および「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」による観測データから作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚「On Clusters and Constellations」として、ESAから2021年9月20日付で公開されています。
関連:重なり合う星々の宝石のような輝き、ハッブルが撮影した“いて座”の球状星団
Image Credit: ESA/Hubble and NASA, R. Cohen
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏
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