オーロラは「音」を出すのだろうか? オーロラの「拍手」を聴いてみよう
sorae.jp / 2021年9月26日 22時0分
【▲ アイスランドで観測されたオーロラ(Credit: John A Davis/Shutterstock)】
多くの人が一度は見てみたいと思うオーロラ。
オーロラの魅惑的な光景は数え切れないくらいの画像や動画で紹介されていますが『オーロラの「音」を聴いたことはありますか?』『そもそもオーロラは人の耳に聞こえるような音(可聴音)を出すのでしょうか?』この疑問は、これまで多くの科学者を困惑させてきました。
オーロラは、太陽風によるプラズマと地球の大気を構成する分子の相互作用によって発生し、一般的に磁場の強い両極付近で見られる発光現象です。しかし、オーロラが音を出しているという報告はまれであり、歴史的に科学者によって却下されてきました。
ところが、2016年のフィンランドでの研究発表では、オーロラが実際に人間の耳に聞こえる音を生成することが確認されたと主張しています。研究者の一人によって行われた録音は、地上70メートルで、魅惑的な発光によって作られた音を捕らえたとしています。こちらの動画では、発光に伴って録音された音(拍手のような音)と観測方法が説明されています。
しかし、音の背後にある明確なメカニズムはいまだ解明されていません。
オーロラの音は、20世紀初頭の数十年間、特に活発な議論の対象でした。北半球の高緯度地域の集落からの報告によると、音が空の魅惑的な発光を伴うことがあるとされていました。それでも、科学界は、捉えどころのない音を聞いたと主張する西洋の探検家がほとんどいないことを考えると、確信が持てませんでした。
![file-20210916-15-7ooisf(Credit:Nasjonalbiblioteket, Norway)](https://sorae.info/wp-content/uploads/2021/09/file-20210916-15-7ooisf.jpg)
【▲ 1930年にノルウェーで撮影されたオーロラの初期の写真。(Credit:Nasjonalbiblioteket, Norway)】
さらに、報告の信頼性は、オーロラの高度測定と密接に関連していました。オーロラは一般的には地上100 km以上で発生し、80km未満ではめったに発生しないことがわかってきたのです。これは、光から出る識別可能な音が、地球の表面に伝達されることは不可能であることを示唆しました。
著名なイギリスの物理学者は、心理的な現象や脳による錯覚かもしれないとコメントしました。同様に、気象学者は、低いオーロラの出現は、低い雲の干渉によって引き起こされた目の錯覚である可能性が高いと主張しました。
その後、最も支持を得た永続的な謎への答えが、1923年にカナダの有名な天文学者であるクラレンス・チャント(Clarence Augustus Chant、1865-1956)によって提案されました。
彼は、オーロラの動きが地球の磁場を変化させ、遠く離れた場所でも大気の帯電に変化をもたらすと主張しました。この帯電は、地表に近いところで物体に触れると、静電気のようなパチパチという音を発生させます。観測者の衣服やメガネ、あるいはモミの木や建物の金属で被覆された部分など、周囲の物体でも起こる可能性があります。
チャントの説は、オーロラの音に関する多くの証言とよく一致しており、また、オーロラ観測中にオゾンが火花のような金属臭を放つという報告が時々あることも裏付けています。
チャントの理論は今日の科学者に広く受け入れられていますが、オーロラが音を出す仕組みについては、いまだに議論が続いています。
はっきりしているのは、オーロラはごくまれに人間の耳に聞こえる音を出すということです。オーロラと一緒に聞こえてくる「パチパチ」「ヒューヒュー」「ブーン」といった不気味な音の報告は、幻想や想像ではなく、客観的な可聴体験を表わしているのです。
こちらでは、京都大学の学生による、オーロラの「音」の興味深い観測体験について紹介されています。
Video Credit: Aalto University
Image Credit: John A Davis/Shutterstock、Nasjonalbiblioteket, Norway
Source: The Conversation
文/吉田哲郎
この記事に関連するニュース
-
宇宙から飛来する最高エネルギー宇宙線の正体は重い原子核の可能性、東大などが推定
マイナビニュース / 2024年7月2日 15時21分
-
電通大など、北極圏を覆うほどの巨大オーロラは電子の豪雨によるものと解明
マイナビニュース / 2024年6月26日 18時54分
-
“異常に明るいオーロラ”が北海道の各地で目撃された理由 SNSで提供された多数の写真が謎を解くカギに
ITmedia NEWS / 2024年6月25日 19時45分
-
極地研など、北海道で目視された異常に明るい赤いオーロラの謎を解明
マイナビニュース / 2024年6月25日 19時43分
-
周期は約1時間 観測史上最も自転が遅い中性子星「ASKAP 1935+2148」を発見
sorae.jp / 2024年6月21日 20時51分
ランキング
-
1大谷翔平&真美子さんのレッドカーペット中継に… 人気アイドルが「思いっきり映ってる」と話題
Sirabee / 2024年7月18日 15時40分
-
2山手線で妊娠中に気づいた“妊婦キーホルダー”の現実「席を譲ってくれる人は“ほぼ皆無”」
日刊SPA! / 2024年7月20日 15時52分
-
3バストの形まで変わる「ブラジャーのNG行為」5つ!あなたはいくつ当てはまる?
女子SPA! / 2024年7月20日 15時46分
-
4もうメンタルが崩壊しそう…最高月収60万円だった「65歳・元大手金融のサラリーマン」、定年後のハローワークで受けた屈辱
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月15日 7時15分
-
5Q. ノートパソコンが濡れてしまいました。すぐに拭けば、使い続けても大丈夫ですか?
オールアバウト / 2024年7月20日 21時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)