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息を呑む渦巻銀河の美しさ。ハッブル&VLTが撮影した“おとめ座”の「M61」

sorae.jp / 2021年10月17日 22時1分

渦巻銀河「M61」(Credit: ESA/Hubble & NASA, ESO, J. Lee and the PHANGS-HST Team)

【▲ 渦巻銀河「M61」(Credit: ESA/Hubble & NASA, ESO, J. Lee and the PHANGS-HST Team)】

こちらは「おとめ座」の方向およそ5200万光年先にある渦巻銀河「M61」のクローズアップです。M61は地球に対してほぼ正面を向けていて、明るく輝く中央の銀河バルジや、その周囲に広がる渦巻腕を観測しやすい位置関係にあります。人の目に見える可視光線だけでなく近赤外線や紫外線の観測データも用いられているこの画像では、若く高温な青い星々が集まる渦巻腕が赤く彩られている様子が描き出されています。

この赤い部分はHII(エイチツー)領域と呼ばれるもので、若い星が放射する紫外線によって電離した水素ガスが輝く輝線星雲です。ここはガスや塵の集まりである高密度な分子雲のなかで新しい星が誕生している場所でもあるため、星形成領域とも呼ばれます。数多くのHII領域がみられるM61は、激しい星形成活動が起きているスターバースト銀河にも分類されています。

また、画像には捉えられていませんが、他の多くの銀河と同様にM61の中心にも超大質量ブラックホールが存在すると考えられています。欧州宇宙機関(ESA)によると、M61には質量が太陽の500万倍以上のブラックホールがあるとみられています。ちなみに、天の川銀河の中心に潜む超大質量ブラックホール「いて座A*(エースター)」の質量は太陽の約400万倍とされていますから、M61の超大質量ブラックホールは天の川銀河のものよりも一回りほど大きいようです。

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」と、チリのパラナル天文台にあるヨーロッパ南天天文台「超大型望遠鏡(VLT)」の観測装置「FORS2」による観測データから作成されたもので、ESAからハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚「Spiral Snapshot」として2021年4月5日付で公開されています。

 

関連:見えざる強風を巻き起こす星形成活動。ハッブルが撮影した渦巻銀河「NGC 4666」

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, ESO, J. Lee and the PHANGS-HST Team
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏

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