「奇妙な角度の原始惑星系円盤と軌道面」を持つ若い連星系を発見
sorae.jp / 2021年10月19日 22時12分
アルマ望遠鏡は10月7日、鹿児島大学の大学院生市川貴教さん(研究当時)率いる研究チームが、アルマ望遠鏡の観測データを使って、おうし座XZ星系を構成する2つの恒星の原始惑星系円盤と連星の軌道面の角度が全部バラバラであることを発見したと発表しました。
おうし座XZ星系は地球から480光年ほど離れたところにある若い連星系です。誕生してから1000万年ほどしかたっていません。そのため、連星をなす2つの恒星の周囲にはそれぞれ恒星が形成された後の残り物であるガスやチリからなる原始惑星系円盤が存在しています。
まず、研究チームは、アルマ望遠鏡の観測データを使って、おうし座XZ星系に属する2つの恒星がそれぞれ持っている原始惑星系円盤の角度がそれぞれ異なっていることを発見しました。そして、さらに、3年間のアルマ望遠鏡の観測データを使って、お互いに回り合っている2つの恒星の軌道運動を調べたところ、さらに興味深いことが解りました。
冒頭のイラストを見てください。このイラストでは、片方の恒星を固定し、その場合に、もう一方の恒星が描く軌道が点線で示されていますが、それぞれの恒星の原始惑星系円盤と連星の軌道面の角度が、全部、バラバラになっていることが解りますね。このように、それぞれの恒星の原始惑星系円盤と連星の軌道面の角度が、全部、バラバラであることが解った連星系は、おうし座XZ星系が初めてだそうです。
研究チームによれば、分子雲のガスが乱流によって分裂することによって、連星や原始惑星系円盤が形成されるのであれば、このようにそれぞれの恒星の原始惑星系円盤と連星の軌道面の角度が、全部、バラバラになることを説明できるといいます。
そして、惑星は原始惑星系円盤のなかで形成されるために、このような連星系を研究することで、大きく傾いた軌道を持つ系外惑星や長く引き伸ばされた軌道を持つ系外惑星などの起源に迫ることができるのではないかと期待されています。
研究チームを率いた市川貴教さんは「今後さらに観測を続け、さらに正確なおうし座XZ星系の軌道運動を検出していきたい」とその抱負をコメントしています。
Image Credit: Image Credit:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)
Source: アルマ望遠鏡のプレスリリース
文/飯銅重幸(はんどうしげゆき)
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