韓国初の国産ロケット「ヌリ号」打ち上げ 宇宙空間に達するも模擬衛星の軌道投入ならず
sorae.jp / 2021年10月23日 11時1分
韓国は10月21日夕方、初の国産ロケット「ヌリ号」の打ち上げを実施しました。ロケットは高度100kmを超えて、宇宙空間へ達したものの、搭載していた1.5tの模擬衛星を軌道へ投入させることはできませんでした。
韓国のムン・ジェイン大統領は、「ヌリ号の飛行は完了したが、残念なことに目標としたゴールに達しなかった。」と発表しました。軌道投入失敗の原因について、ロケットの第3段部分の燃焼が予定よりも早く終了したため、衛星を軌道へ載せる速度に達することができなかったということです。今後は発射調査委員会を設けて、原因究明にあたるとしています。
韓国の宇宙機関・韓国航空宇宙研究院(KARI)は、ソウルの南500kmにある外羅老島に「羅老宇宙センター」を保有しています。ヌリ号は、KARIが9年かけて開発した国産ロケットです。全長は47.2m、直径3.5m、重量200tとなっています。第1段ロケットには推力75tのエンジンを4機クラスター化し、推力300tを出す技術が使用されています。燃料はケロシンと液体酸素を使用。また第2段には推力75tのエンジンが1機、第3段には推力7tのエンジン1機が搭載されています。なお、1.5tの衛星を地球低軌道(LEO)600kmから800kmに投入する能力を持ちます。
ヌリ号は、羅老宇宙センターから打ち上げられ、第1段分離、フェアリング分離、第2段分離などが正常に行われました。しかし、第3段の液体エンジンは予定していた512秒の燃焼時間のところ、475秒で終了してしまい、秒速7.5kmの速度に及ばなかったため模擬衛星の軌道投入に失敗したということです。
KARIは公式発表で、「国内独自開発ロケットの初飛行試験として重要な発射の手順を全て履行し、核心技術を確保する意義を確認した。」と発表しています。また発射の手順とは、具体的に「一段エンジン点火→離陸→一段エンジンの燃焼と一段分離→フェアリング分離→2段エンジン点火と燃焼→2段分離→3段エンジン点火と燃焼→分離」としており、模擬衛星の軌道投入に失敗したものの、非常に多くの有効なデータが得られたと考えられます。今後は、原因究明などにあたり、来年5月に2回目に発射を目指す見込みです。
Image Credit: KARI Youtube Webcast
Source: KARI/SpaceNews/SpaceflightNow
文/sorae編集部
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