ハッブルが撮影、相次いで超新星が観測された“インディアン座”の渦巻銀河
sorae.jp / 2021年11月4日 21時0分
こちらは南天の「インディアン座」の方向およそ2億光年先にある渦巻銀河「NGC 6984」です。中心部の明るい銀河バルジを取り巻く渦巻腕は、若く高温な星の青い輝きに満ちています。渦巻腕に点在する赤い輝きは若い星が放射した紫外線によって水素ガスが電離したHII領域で、NGC 6984のあちこちに新たな星を生み出す星形成領域が分布していることがわかります。
欧州宇宙機関(ESA)によると、NGC 6984では2012年と2013年に相次いで超新星「SN 2012im」および「SN 2013ek」が観測されたことで研究者の注目を集めました。超新星のタイプは先に起きたSN 2012imが「Ic型」、SN 2013ekが「Ib型」とみられています。Ib型とIc型の超新星は、どちらも水素の外層を(Ic型はヘリウムの層も含めてより多くの物質を)失った大質量星の中心部が重力崩壊することで起こると考えられています。
ESAによれば、2つの超新星は宇宙の尺度からすれば事実上同じ場所・同じタイミングで発生した別々の超新星でした。これほど近い場所で1年以内に同じクラスの超新星が2つ独立して起きる可能性は非常に低いとされており、2つの超新星が何らかの形で物理的に関連しているのではないかとも推測されているといいます。
冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」による可視光線・近赤外線・紫外線の観測データから作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚「Cosmic Fireworks」としてESAから2021年11月1日付で公開されています。
なお、NGC 6984は超新星SN 2013ekが輝いていた2013年にもハッブル宇宙望遠鏡によって観測されています。ESAによると、ハッブルの観測データは研究者が2つの超新星の関連性を見出す上での助けになることが期待されており、連星の生涯についての重要な手がかりを得ることにつながるかもしれないとのことです。
関連:今も昔も美しい姿。ハッブルが撮影してきた棒渦巻銀河「NGC 2903」
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, D. Milisavljevic
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影 “レチクル座”の渦巻銀河「NGC 1559」
sorae.jp / 2024年9月20日 17時56分
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“おとめ座”の渦巻銀河「NGC 5668」
sorae.jp / 2024年9月17日 21時20分
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影 “ぼうえんきょう座”の渦巻銀河「IC 4709」
sorae.jp / 2024年9月3日 21時3分
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した小マゼラン雲の散開星団「NGC 346」
sorae.jp / 2024年8月30日 21時56分
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した「さんかく座銀河」の中心付近
sorae.jp / 2024年8月26日 20時55分
ランキング
-
1和田アキ子の限界「アッコにおまかせ!」に終了説 強面キャラが本物の権力者として批判されるように
東洋経済オンライン / 2024年9月24日 12時0分
-
2内臓脂肪に悩む人、やめるべき「お酒の飲み方」5つ 日本人の3人に1人は「脂肪肝」だといわれている
東洋経済オンライン / 2024年9月24日 15時0分
-
3「撤退するヤツも容赦なし!」“異形の戦車”主体のロシア軍部隊 ウ軍陣地に突撃するも返り討ちに
乗りものニュース / 2024年9月24日 11時42分
-
4中国、犬を偽装したパンダが「ワンワン!」吠えてバレる パンダ犬が裏ブームとなる闇事情
もぐもぐニュース / 2024年9月24日 10時28分
-
5「そうだったのか!」料理長が教える玉ねぎの剥き方が参考になる
おたくま経済新聞 / 2024年9月23日 18時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください